日本共産党

2004年3月1日「しんぶん赤旗」

主 張 

教育基本法改悪議連

「命投げ出せ」とは何たること


 自民党と民主党の国会議員が結成した「教育基本法改正促進委員会」は、与野党の枠を超えて、教育基本法改悪の実現をはかる議員連盟です。森喜朗元首相らが最高顧問に名を連ねています。

 森氏といえば、首相在任中の「日本の国は、天皇を中心にしている神の国であるぞということを、国民に承知してもらう」という発言(二〇〇〇年五月)が思いだされます。

「教育勅語」と同じ論理

 この「神の国」発言と同様の発言が、民主党・西村真悟衆院議員の口から飛び出しました。

 「お国のために命を投げ出しても構わない日本人を生み出す。お国のために命をささげた人があって…祖国があるということを子どもたちに教える。これに尽きる」「お国のために命を投げ出すことをいとわない機構、つまり国民の軍隊が明確に意識されなければならない。この中で国民教育が復活していく」

 国家のために死ぬことを子どもたちに教え込もう――こんなことが、民主主義の社会で許されていいのか。私たちは深い憤りを感ぜずにはおられません。

 生命のよろこび、人と人との間で生きていくことのすばらしさ、社会や自然についての科学的な認識。そうしたことを子どもたちが学ぶことをたすける営みが教育です。

 これは、「人格の完成」を教育の目的にすえた教育基本法が高く掲げた理想にほかなりません。

 西村氏の論理は、いざというときに天皇を助けて命がけでたたかうのが最大の義務であり道徳だと強調した「教育勅語」と同じです。

 「お国」の都合をすべてに優先し、国民の命を羽毛よりも軽く扱う教育が、日本をどこに導いたのか。教育基本法制定時に文部省が中心になってまとめた解説書は、次のように書いていました。

 「国家を唯一の価値の基準とし、国家を超える普遍的政治道徳を無視する教育を行った結果、自国の運命を第一義的に考え国際間の紛争を武力をもって解決しようとする武力崇拝の思想が教育の中に侵入してきた」「このような教育は、わが国をして世界を相手とする戦争にまで追い込み、今日の敗戦の災いを招くに至った有力な一因をなした」(『教育基本法の解説』)

 見過ごせないのは、西村氏の発言が、憲法と教育基本法の改悪を狙う勢力のなかでは、突出したものではないということです。

「国軍」が意味するもの

 小泉首相は憲法第九条を改悪して「自衛隊を『国軍』と明記した方がいい」と述べていますが、これは、西村氏の言う「国民の軍隊」と共通性をもっています。

 憲法に「国軍」と明記するというのは、「国民の軍隊」だとして、国民に兵役の義務を課すことになり、徴兵制導入につながります。その際、「義務」として国民を駆り出すにとどめず、教育を通じて「お国のために命を投げ出す」国民を多数育てることが、国家にとって重要な課題とみなされるようになるでしょう。

 すでに、小泉自公政権は、アメリカの戦略にそって自衛隊のイラク派兵を強行し、アメリカの戦争に国民を総動員する有事法制の「整備」をすすめています。まさに、国民に「命を投げ出す」ことを求めるものです。自民党などが、憲法改悪、教育基本法改悪策動のなかで、「愛国心」明記をしつこく狙うのも、こうした背景からです。民主党は、それに手を貸すというのでしょうか。


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