日本共産党

2004年3月30日「しんぶん赤旗」

主 張

婚外子差別 出生にかかわりなく


 法務省が、婚姻届を出していない男女間から生まれた子ども(婚外子)の戸籍の続柄欄の記載方法を改める方針で検討を始めています。

 現行は、婚姻届を出した夫婦(法律婚)の子どもの場合、「長男」「長女」と書かれているのにたいし、婚外子は「男」「女」と書かれます。これを改め、戸籍の続柄欄の記載では、法律婚夫婦の子どもと婚外子との区別を、撤廃するというものです。

憲法、国際法に反する

 今回の改正に道を開いたのは、三月二日の東京地裁判決です。戸籍の続柄欄の記載の区別が、プライバシーの侵害であり、就学や就職、結婚などで不利益な扱いを助長していると判断しました。

 この判決を受けて、野沢法務相が国会で、婚外子の戸籍続柄欄の記載を改めるために、戸籍法施行規則を見直すと発言しました。遅くとも今年中に、区別記載を改正する方向です。

 「戸籍の続柄欄の区別記載撤廃はすぐにでも実現を」という要求は、多くの女性団体、子ども組織などからも強く出されていたことです。

 これが実現されれば、九五年、自治省(当時)が住民票の続柄欄を「子」に統一する通達をだしたのにつづく前進です。

 婚外子であるという理由で社会的、経済的、法的に差別されることは、「すべて国民は、法の下に平等」であり「差別されない」という憲法一四条の規定に反するものです。

 国際的にも、国連の自由権規約や社会権規約、子どもの権利条約で婚外子の差別を禁止しています。

 生まれてきた子どもの権利はみな平等です。

 欧米諸国はこの立場から、法律上、法律婚であるかどうかで子どもを差別せず、平等に保護される権利を保障しています。一九六〇年代後半からこうした流れが生まれ広がっています。

 日本ではようやく戸籍の記載が改善されるという段階で、民法、戸籍法など法律そのものの是正はまだまだ残されています。
 民法には「嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の二分の一」(九〇〇条)という相続規定などがあり、戸籍法には「実父母との続柄」、「子の男女の別及び嫡出子又は嫡出でない子の別」の記載義務の条項があります。

 国連の自由権規約委員会や社会権規約委員会、女性差別撤廃委員会、子どもの権利委員会は、日本の法律に規定されている、婚外子への差別的な条項を削除するよう日本政府にたいして再三にわたり厳しく勧告をしています。

 政府は「歴史的、文化的、社会的背景がある。不合理な差別ではない」「(相続差別について)国民の間でも意見がわかれているし、法律婚の家族と子どもを保護することから考えると不合理な差別と言えない」といっています。しかし、国際的には通用せず、今年一月の子どもの権利委員会の最終所見は、婚外子に対するあらゆる差別、とくに相続や国籍に関する差別、出生登録に関する差別を廃止すること、あわせて、法律から「非嫡出」という差別的用語を廃止するために国内法を改正することを勧告しました。

記載だけでなく法改正を

 すべての子どもが差別されることなく、一人ひとりの権利が大切にされるように、日本政府は、戸籍法施行規則の見直しにとどまらず、婚外子差別是正のための法的見直しにただちに着手すべきです。


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