日本共産党


後期高齢者医療制度を廃止する等医療に係る高齢者の負担の増加を回避する等のための健康保険法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案骨子

2008年2月28日

 日本共産党、民主党、社民党、国民新党の野党四党は二十八日、四月実施予定の後期高齢者医療制度を廃止する法案を、衆議院に提出しました。日本共産党から高橋千鶴子衆院議員が参加し、衆院事務総長に法案を手渡しました。

後期高齢者医療制度/4野党が廃止法案/衆院提出=2008年2月29日(金)「しんぶん赤旗」記事へ→


 健康保険法等の一部を改正する法律(平成18年法律第83号)の一部を次のように改正する。


第1 健康保険法の一部改正(平成20年4月1日施行)関係

次の事項に係る改正規定を削ること。

1 被保険者に関する事項

健康保険の被保険者及び被扶養者から後期高齢者医療の被保険者を除くこと。

2 保険給付に関する事項

(1) 入院時生活療養費を支給する特定長期入院被保険者を65歳以上[現行70歳以上]とすること。

(2) 70歳以上の被保険者(一定以上の報酬を有する者を除く。)の療養の給付に係る一部負担金の割合を2割[現行1割]とすること。70歳以上の被扶養者の自己負担割合についても同様とすること。

3 国庫は、特定健康診査等の実施に要する費用の一部を補助することができること。

4 保険料に関する事項

(1) 保険料を充てる健康保険事業に要する費用に、高齢者の医療の確保に関する法律の規定による前期高齢者納付金等及び後期高齢者支援金等を含めること。

(2) 一般保険料率は、基本保険料率と特定保険料率を合算した率をいうこと。

(3) 健康保険組合が管掌する健康保険の一般保険料率の上限を1000分の100[現行1000分の95]とすること。

(4) 特定保険料率は、各年度において保険者が納付すべき前期高齢者納付金、後期高齢者支援金、退職者給付拠出金等の額を被保険者の標準報酬月額及び標準賞与の総額の合算額の見込額で除した額を基準として保険者が定めること。

※これにより、次の事項に係る改正規定が施行されることになる。

1 6歳に達する日以後の最初の3月31日以前[現行3歳に達する日の属する月]の被扶養者の自己負担割合を2割とすること。

2 療養の給付に係る一部負担金の額及び介護保険の利用者負担額(それぞれ高額療養費又は高額介護サービス費等が支給される場合には当該支給額を控除して得た額)の合計額が著しく高額であるときは、高額介護合算療養費を支給すること。

3 保険者の役職員は、健康保険事業に関して職務上知り得た秘密を正当な理由がなく漏らしてはならないこと。

第2 健康保険法の一部改正(平成20年10月1日施行)関係

次の事項に係る改正規定を削ること。

1 保険者

(1) 健康保険組合の組合員でない被保険者に係る健康保険事業を行う保険者として全国健康保険協会を設けること。

(2) 保険協会が管掌する健康保険の事業に関する業務のうち、被保険者の資格の得喪の確認、標準報酬月額等の決定及び保険料の徴収(任意継続被保険者に係るものを除く。)は、社会保険庁長官が行うこと。

2 全国健康保険協会

(1) 健康保険協会(以下「協会」という。)は、保険給付、保健事業等の業務を行うこと。

(2) 協会は、従たる事務所(以下「支部」という。)を各都道府県に置くこと。

(3) 協会の役員、運営委員会、事業計画等について所要の規定を設けること。

3 費用の負担

(1) 政府は、協会が行う健康保険事業に要する費用に充てるため、協会に対し、社会保険庁長官が徴収した保険料等の額から社会保険庁長官の事務の執行に要する費用に相当する額(当該費用に係る国庫負担金の額を除く。)を控除した額を交付すること。

(2) 協会が管掌する健康保険の一般保険料率は、1000分の30から1000分の100までの範囲内において、支部被保険者(支部の都道府県に所在する適用事業所に使用される被保険者等をいう。以下同じ。)を単位として協会が決定し、厚生労働大臣の認可を受けること。

(3) 都道府県単位保険料率((2)により支部被保険者を単位として協会が決定する保険料率をいう。)は、療養の給付等に要する費用、前期高齢者納付金、後期高齢者支援金、保健事業に要する費用等に照らし、毎事業年度において財政の均衡を保つことができるよう、政令で定めるところにより算定すること。

(4) 協会は、支部被保険者及びその被扶養者の年齢分布の状況及び総報酬額の状況の差異によって生ずる負担及び財政力の不均衡を是正するため、各支部被保険者を単位とする健康保険の財政の調整を行うこと。

第3 老人保健法の一部改正 (平成20年4月1日施行) 関係

次の事項に係る改正規定を削ること。

1 題名を「高齢者の医療の確保に関する法律」に改めること。

2 医療費適正化計画等

(1) 厚生労働大臣は、国民の高齢期における適切な医療の確保を図る観点から、医療に要する費用の適正化(以下「医療費適正化」という。)を総合的かつ計画的に推進するため、医療費適正化基本方針を定めるとともに、5年ごとに、5年を1期として、全国医療費適正化計画を定めるものとすること。

(2) 都道府県は、医療費適正化基本方針に即して、5年ごとに、5年を1期として、都道府県医療費適正化計画を定めるものとすること。

3 特定健康診査等基本指針等

(1) 厚生労働大臣は、特定健康診査(糖尿病その他の政令で定める生活習慣病に関する健康診査をいう。)及び特定保健指導(特定健康診査の結果により健康の保持に努める必要がある者に対する保健指導をいう。)の適切かつ有効な実施を図るための基本的な指針(以下「特定健康診査等基本指針」という。)を定めること。

(2) 保険者は、特定健康診査等基本指針に即して、5年ごとに、5年を1期として、特定健康診査等の実施に関する計画(以下「特定健康診査等実施計画」という。)を定めること。

(3) 保険者は、特定健康診査等実施計画に基づき、40歳以上の加入者に対し、特定健康診査を行うものとすること。また、これに併せて、保健事業に関する規定を削除すること。

4 前期高齢者に係る保険者間の費用負担の調整

(1) 各保険者の加入者数に占める前期高齢者数の割合に係る負担の不均衡を調整するため、保険者に対して、前期高齢者交付金を交付すること。

(2) 前期高齢者交付金は、保険者から徴収する前期高齢者納付金をもって充てること。

5 後期高齢者医療制度

(1) 後期高齢者医療は、高齢者の疾病、負傷又は死亡に関して必要な給付を行うこと。

(2) 市町村は、後期高齢者医療の事務を処理するため、都道府県の区域ごとに当該区域内のすべての市町村が加入する広域連合(「後期高齢者医療広域連合」という。)を設けるものとすること。

(3) ?後期高齢者医療広域連合の区域内に住所を有する75歳以上の者及び?後期高齢者医療広域連合の区域内に住所を有する65歳以上75歳未満の者であって政令で定める程度の障害の状態にある旨の認定を受けたものは、後期高齢者医療の被保険者とすること。

(4) 後期高齢者医療広域連合は、療養の給付、入院時食事療養費の支給及び入院時生活療養費の支給等を行うこと。

(5) 療養の給付に係る一部負担金の割合について、1割とすること。ただし、一定以上の所得を有する者は、3割とすること。

(6) 国は後期高齢者医療の給付等に要する費用の額から一定以上の所得を有する者に係る給付等に要する費用の額(「特定費用の額」という。)を控除した額(以下「負担対象額」という。)の12分の3に相当する額を、都道府県は負担対象額の12分の1に相当する額を、市町村は負担対象額の12分の1に相当する額を、それぞれ負担するほか、国、都道府県及び市町村の負担について定めること。

(7)後期高齢者医療の負担対象額に1から後期高齢者負担率及び100分の50を控除した率を乗じた率並びに特定費用の額に1から後期高齢者負担率を控除した率を乗じた額の合計額(「保険納付対象額」という。)は、支払基金が後期高齢者医療広域連合に対して交付する後期高齢者交付金をもって充てること。

(8) 保険料は、後期高齢者医療広域連合の全区域にわたって均一の保険料率であることその他の政令で定める基準に従い後期高齢者医療広域連合の条例で定めること。ただし、離島その他の地域については、別に後期高齢者医療広域連合の条例で定めることができること。

(9) 都道府県は、後期高齢者医療の財政の安定化に資する事業に充てるため、財政安定化基金を設けること。

(10) 支払基金は、年度ごとに保険者から後期高齢者支援金等を徴収すること。保険者は、後期高齢者支援金等を納付する義務を負うこと。

6 都道府県は、政令で定める日までの間、病床転換助成事業を行うこと。

※これにより、次の事項に係る改正規定が施行されることになる。

1 市町村から医療等以外の保健事業の実施の委託を受けた者等は、その実施に関して職務上知り得た秘密を正当な理由がなく漏らしてはならないこと。

2 医療の実施に係る一部負担金等の額及び介護保険の利用者負担額の合計額が著しく高額であるときは、高額介護合算医療費を支給するものとすること。

第4 国民健康保険法の一部改正(平成20年4月1日施行)関係

次の事項に係る改正規定を削ること。

1 被保険者に関する事項

高齢者の医療の確保に関する法律の規定による被保険者は国民健康保険の被保険者としないこと。

2 保険給付に関する事項

(1) 入院時生活療養費を支給する特定長期入院被保険者を65歳以上[現行70歳以上]とすること。

(2) 70歳以上の被保険者(一定以上の所得を有する者を除く。)については療養の給付に係る一部負担金の割合を2割[現行1割]とすること。

3 費用の負担に関する事項

(1) 国が負担する組合が行う国民健康保険の事務の執行に要する費用に、前期高齢者納付金等及び後期高齢者支援金等の納付に関する事務の執行に要する費用を含めること。

(2) 国が市町村に対してその一部を負担する費用の対象に、前期高齢者納付金及び後期高齢者支援金を含めること。

(3) 国及び都道府県は、市町村に対して、特定健康診査等に要した費用の3分の1に相当する額を負担すること。

(4) 国が国保組合に対して補助できる費用の対象に、前期高齢者納付金及び後期高齢者支援金を含めること。

(5) 保険料を充てる国民健康保険事業に要する費用に、前期高齢者支援金等及び後期高齢者支援金等の納付に要する費用を含めること。

 (6) 市町村が行う保険料の徴収については、特別徴収(老齢等年金給付の支払いをする者に保険料を徴収させ、納入させることをいう。)の方法による場合を除くほか、普通徴収の方法によらなければならないこと。特別徴収の方法等に関して必要な規定を設けること。

4 平成26年度までの間に退職被保険者等に該当する者に係る被用者保険等保険者からの拠出金に関する規定を附則に置くこと。

※これにより、次の事項に係る改正規定が施行されることになる。

1 6歳に達する日の属する月以後の最初の3月31日以前[現行3歳に達する日の属する月]の被保険者の療養の給付に係る一部負担金の割合を2割とすること。

2 新たに高額介護合算療養費を支給すること。

3 保険者の役職員は、国民健康保険事業に関して職務上知得した秘密を漏らしてはならないこと。

第5 地方税法の一部改正(平成20年4月1日施行)関係

次の事項に係る改正規定を削ること。

1 国民健康保険税を充てる国民健康保険に要する費用に、前期高齢者納付金等及び後期高齢者支援金等の納付に要する費用を含めること。

2 老齢等年金給付の支払を受けている65歳以上の国民健康保険の被保険者である世帯主に対して課する国民健康保険税を原則特別徴収の方法によって徴収するものとするほか、特別徴収の方法等に関して必要な規定を設けること。

第6 船員保険法の一部改正(平成20年4月1日施行)関係

次の事項に係る改正規定を削ること。

○ 老人保健法の改正に伴う所要の改正を行うこと。

第7 介護保険法の一部改正(平成20年4月1日施行)関係

次の事項に係る改正規定を削ること。

○ 厚生労働大臣は、介護保険法に規定する基本指針を定めるに当たっては、医療に要する費用の適正化及び良質かつ効率的な介護サービスの確保の観点から高齢者の医療の確保に関する法律附則に規定する病床の転換が円滑に行われるよう介護保険施設等の入所定員の増加について適切に配慮すること。

※これにより、次の事項に係る改正規定が施行されることになる。

○ 介護保険の利用者負担額及び健康保険等の療養の給付に係る一部負担金等の額(それぞれ高額介護サービス費等又は高額療養費が支給される場合には当該支給額を控除して得た額)の合計額が著しく高額であるときは、高額医療合算介護サービス費を支給すること。

第8 介護保険法の一部改正(平成24年4月1日施行)関係

次の事項に係る改正規定を削ること。

○ 介護療養型医療施設を平成24年3月31日をもって廃止すること。

第9 施行期日等

1 この法律は、公布の日から施行すること。

2 その他所要の規定の整備を行うものとすること。


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