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学費が払えず高校卒業、入学できない若者を一人も出さない 日本共産党の緊急提案

2009年3月11日 日本共産党

高校の卒業、入学の季節を迎えました。ところが今、「派遣切り」などの雇用破壊や国内外の未曾有の経済危機のなかで、「学費が払えなくなった」「通学費がないので退学した」などの深刻な事態がひろがっています。全国調査によれば、私立高校の授業料滞納者数は前年の3倍、2万4490人にのぼります。多数の若者が学費が払えず高校を卒業できない、中退させられることになりかねません。また、学費が準備できず高校進学をあきらめる若者がふえることも心配です。

 今日、高校卒業は多くの職業につくための必要条件となり、進学率は97%をこえています。経済的な理由による高校教育からの排除は、若者一人ひとりへの大きなダメージであり、同時に社会の健全な発展を掘り崩すものです。

 憲法は国民に「ひとしく教育を受ける権利」(第26条)を保障しています。経済的な理由で高校から排除される若者を出さないことは、政府もわが党の質問に「最大限努力する」(官房長官、2月24日)と答弁したように、誰もが否定できない政治の責任です。

 私たちは、この問題の解決のための国民的な運動をよびかけ、以下の政策を提案します。

一 この春、学費が払えずに卒業できない、入学できない若者をなくそう

 何よりも、この春、行政と学校、社会が力をあわせて、学費が払えず高校が卒業できない、中退させられる、入学できない若者を一人も出さないことをよびかけます。そのために緊急に以下の措置を講じることを提案します。

 学費を理由にした処分・除籍をやめる……学費滞納を理由にした退学・除籍は、子どもの教育を受ける権利を無視した措置であり、回避すべきです。行政の側から公立高校の学費滞納生徒の退学等を促すことは直ちにやめるべきです。また昨年のような、学費未納を理由にした入学式の出席禁止は、教育の場であってはなりません。学校は親身に相談にのり、学費延納などの手をつくして、子どもを守る立場にたつことが求められています。

 高校生救済貸し付けを緊急におこなう……学費滞納が高額の場合など、現行の諸制度を活用しても十分対応できないケースがあります。この問題を解決するために、国及び都道府県の責任で、卒業予定者で学費滞納がある、入学希望者で学費が工面できないなどの高校生を救済するための、無保証人・無利子・返済猶予付(本人所得が年300万円超となるまで)の貸し付けをおこなうことを提案します。

二 国と自治体の責任で、授業料減免と奨学金を拡充し、交通費補助制度をつくる

 経済的に困難をかかえる高校生の教育を保障するための現行制度はあまりに貧弱です。公立高校の授業料減免は自治体によって制度がバラバラで、減免されている生徒の割合は県によって10倍以上の開きがあります。私立高校の授業料減免も自治体の制度がバラバラで、しかも、どんなに困窮していても授業料に程遠い補助しか受けられない自治体がほとんどです。奨学金や貸し付けも不十分で、少なくない自治体で保証人が必要など、困っている家庭ほど利用しにくくなっています。

 私たちは、提言「『世界一高い学費』を軽減し、経済的理由で学業をあきらめる若者をなくすために」(昨年4月16日)で、現行制度の改革を訴えました。その実現はますます急がれます。高校通学費補助制度の創設等をくわえ、あらためて提案します。

 公立高校授業料減免の拡充……公立高校授業料減免のための国の予算を引き上げ、全国的に少なくとも年収500万円以下(四人世帯)で減免されるようにします。減免される生徒の割合が低すぎる都道府県は、制度の周知徹底や利用条件緩和などの対策をとるべきです。

 私立高校授業料減免の拡充……国の責任で、年収500万円以下の世帯で全額免除・年収800万円以下の世帯で一部減額となるような私立高校授業料への助成制度をつくります。そうなる以前でも、各自治体は授業料補助制度を少なくとも授業料実額に見合うよう改善すべきです。生活保護生業扶助の高校就学費を私学の場合、施設整備費等をふくむ学費の全額に引き上げます。

高校通学費補助制度の創設……高校統廃合や高校学区の拡大などによって高校生の通学費は月数万円の場合もあります。一部の自治体で通学費補助がはじまっています。国と自治体の責任で全国で高校通学費補助制度をつくります。

 高校奨学金制度等の拡充……国と都道府県の責任で高校奨学金を、無保証人・無利子・返済猶予付(本人所得が年300万円まで)にし、成績要件も撤廃します。母子家庭への貸し付けも無保証人とし、実態として単親家庭であれば誰でも利用できるようにします。大きな困難をかかえる生徒のための返済不要の「給付制奨学金制度」を創設します。

 外国籍の生徒への支援……国際人権規約、子どもの権利条約の立場にたち、インターナショナルスクール等に通う生徒が教育から排除されないよう公的支援をおこないます。

 国際人権規約・学費の段階的無償化条項の留保撤回……国際人権規約(A規約)第13条は、高校と大学を段階的に無償化することを定め、無償化は世界の流れです。高校授業料が無料でない国は、OECD加盟30カ国中、日本など4カ国しかありません。無償化条項への留保を撤回し、「世界一高い学費」の負担軽減をすすめる国の姿勢を明確にします。


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