日本共産党
SEISAKU
SOUGOU,SYAKAIHOSYO

2009年 総選挙政策 《分野別政策》

10 高齢者

高齢者が安心してくらせる社会をつくります

 高齢者が安心して暮らせる社会をつくることは、政治の重要な責任です。

 ところがいま、自公政権のもとで、高齢者を”じゃまもの“あつかいする悪政が横行しています。お年寄りを差別し、際限のない負担増をおしつける後期高齢者医療制度に、全国の高齢者が怒りの声があげています。国保料(税)、介護保険料の相次ぐ値上げが家計を圧迫し、療養病床の削減、介護施設の経営危機・人手不足は、「介護崩壊」ともいうべき深刻な事態を引き起こしています。くわえて、「消えた年金」「消された年金」問題です。自公政権の高齢者いじめ、無責任政治はひどすぎます。

 高齢者世帯は年所得200万円以下が42.8%、年100万円未満も15.7%にのぼるなど(06年「国民生活基礎調査」)、貧困で厳しい生活を余儀なくされている人が数多くいます。高齢者に、「自助努力」、「自己責任」を強要し、負担増と福祉のきりすてをすすめる政治では、生活破壊と貧困化がますます深刻化し、老後不安はつのるばかりです。

 日本の70歳以上の高齢者は2017万人となり、初めて2000万人を突破しました(08年9月15日現在の推計)。戦前、戦中、戦後の苦難の時代に身を粉にして働きつづけ、家族と社会のためにつくしてきた人たちです。

 日本共産党は、高齢者が大切にされ、安心して老後をおくれる社会の実現をめざして全力をあげます。

 後期高齢者医療制度は廃止します―――「長生きは罪なのですか」・・・自公政権が08年4月実施を強行した「後期高齢者医療制度」に、全国の高齢者が不満をつのらせ怒りの声をあげています。75歳という年齢をかさねただけで、今まで入っていた国保や健保から追い出されるという差別医療は世界に例がありません。しかも、年金からの天引きで、2年ごとに際限なく保険料が引きあげられ、受けられる医療内容も別建てで制限します。まさに「うば捨ての制度」です。政府は、「抜本見直し」を言い出していますが、後期高齢者医療制度はきっぱり廃止すべきです。療養病床の削減計画をストップさせ、安心して入院治療・療養ができるよう体制をととのえます。

高齢者の医療費を無料にします―――日本共産党は、“窓口負担ゼロ”をめざして負担軽減に踏み出します。その第一歩として、75歳以上の高齢者の医療費は無料にすることを提案します。自公政権が来年度からの実施を決めた70〜74歳の窓口1割から2割負担への2倍の値上げを撤回させます。69歳以下は2割に引き下げます。

 国民健康保険の高い保険料(税)が、高齢者世帯の家計を圧迫しています。日本共産党は、国の責任で、国保料(税)を一人当たり年1万円引き下げる緊急提案をおこなっています。これは、この間、国が減らしてきた市町村国保への財政支出のごく一部を元にもどすだけで実現できます。

 年金を充実させます―――公的年金は、老後の暮らしをささえる柱です。ところが、国民年金しか受けていな高齢者は910万人、その受給額は平均で月額約4万7000円にすぎません(05年)。月2万円、3万円という低額年金、また無年金の人々も膨大な数にのぼるなど、きわめて劣悪な水準です。抜本的な改革が必要です。

 日本共産党は、安心できる年金制度改革として、掛け金なしでも、一人で月額5万円、夫婦で月額10万円の年金がうけとれる最低保障年金制度の創設を提案しています。全額国庫負担によるこの最低保障額の上に、それぞれの掛け金に応じて、給付を上乗せするようにします。そうして、国民年金満額の人なら、現在の月6万6千円を月8万3千円まで底上げします。

 「消えた年金」「消された年金」問題は、6万9000件を超す年金記録の改ざんに社会保険庁の職員が関与していることがあきらかになりました。まさに、国家による詐欺にひとしいものです。一人も被害者をださず、一日も早く解決するという立場で、国が解決に責任を果たすことを求めます。国が管理・保有している情報をきちんと提供すること、相談・問い合わせ、未払い金の支払いなどに対応できる体制を抜本的に強化すべきです。

 公的年金等控除など高齢者増税を見直し、「天引き」をやめさせます―――この間に行われた高齢者の所得税・住民税の増税について、公的年金等控除の最低保障額を140万円に戻すとともに、所得500万円以下の高齢者には老年者控除を復活します。

介護保険料や今年10月から開始されようとしている住民税の年金からの特別徴収(天引き)については、「天引き」の強制をやめさせ、各人の希望で普通徴収に変更できるようにします。

 介護保険制度を改善します―――「老老介護」に疲れ果てた、高齢者夫婦の痛ましい無理心中事件が後を絶ちません。著しく不足している介護施設・在宅サービス、高い保険料・利用料負担など、「保険あって介護なし」の深刻な事態を改善することが急務です。

 介護保険財政にたいする国庫負担割合を5%引き上げ、介護保険料の値上げを抑え、保険料、利用料の減免制度の拡充をすすめます。所得の少ない高齢者は、介護保険料・利用料を免除します。また要介護度が実態より下がる新認定制度は中止し、ホームヘルプサービスなど給付の制限をやめさせ、改善をすすめます。

 介護の人材不足を打開するために、事業所にたいする介護報酬を大幅に引き上げ、国の責任で職員の賃金を月額3万円ひきあげる緊急措置を実現します。

 特別養護老人ホームを大幅にふやし、一日も早く待機者を解消します。小規模・多機能宅老所、グループホームなどが地域にきめこまかくととのえられるよう、行政の支援をつよめます。

 高齢者むけ住宅を増設します―――高齢者で、現在、居住している住宅で困っている人は4割を超えます。一方、特別養護老人ホームやケア付住宅などへの入居希望者も増えています。(内閣府「高齢者の住宅と生活環境に関する調査」06年)。

 住宅のリフォームがすすめられるよう、介護保険の住宅改造費を拡充するとともに、自治体の住宅改造助成制度の新設・拡充をはかります。高齢者むけケア付住宅・施設の整備を急ぎます。

 公営住宅やUR(住宅都市再生機構)の賃貸住宅の建設をふやし、高齢者むけ家賃減免制度の拡充をはかります。

 民間賃貸住宅に暮らす高齢者への自治体の家賃補助制度の普及をすすめます。

 就業・雇用を保障します―――働く意欲と能力がありながら、まっさきにリストラの対象となるのは高齢者です。ハローワークに通っても、希望どおりの仕事につけるのは皆無に近く、中高年齢者の再雇用はきわめて厳しいのが実情です。

 高年齢者雇用安定法が改正され、年金の支給開始年齢の繰り延べにあわせて、65歳までの段階的な雇用延長がすべての事業主に義務づけられました(06年4月)。事業主は、「定年の引き上げ」「継続雇用制度の採用」「定年の定めの廃止」のいずれかの措置を講じなければなりません。「継続雇用制度」については、法の趣旨からも、希望者は全員再雇用となるよう、国は企業に指導・監督をつよめるべきです。年齢による賃金差別はやめさせるべきです。アメリカやEUなどで実施されているような、「年齢による差別を禁止する法」(仮称)を制定することも必要です。

 地域の実情におうじて、高齢者の就労・社会参加の場をひろげることも大切な課題です。シルバー人材センターについて、賃金や労働条件、災害補償など改善をはかります。また高齢者の就労の場の確保のために活動している団体にたいして、行政が支援をおこなうようにすべきです。

 安心・安全のネットワークをつくります―――一人暮らしの高齢者(65歳以上)は年々増えつづけ430万人にのぼります(2010年)。誰にもみとられず亡くなるという痛ましい孤独死が各地でふえています。貧困と格差の象徴です。医療制度の改悪や冷たい生活保護行政、介護保険の導入を機に高齢者福祉にたいする行政の責任が大幅に後退したことも背景にあります。

 行政が責任をもって、地域住民と協力しあい、高齢者を地域でささえる安心のネットワークをつくることが急務です。

 自治体やNPOなどがとりくんでいる、高齢者への配食サービス、見守り活動、緊急通報システムなどの普及・拡充をはかります。高齢者が積極的に外出し、住民同士で会食や交流などができるミニ集会所をきめこまかにととのえることも必要です。

 自治体と地域包括支援センターが、介護保険の対象者だけでなく、広く地域のお年よりの実態を把握し、安心のネットワークをつくりあげていくうえで役割を果たすことが必要です。そのためにも、国が地域包括支援センター、在宅支援センターへの職員の増配置や財政保障をつよめるようにすべきです。

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