日本共産党
SEISAKU
SOUGOU,SYOUHISYA

2009年 総選挙政策 《分野別政策》

14 消費者

「消費者の権利」を実現するために、消費者行政の抜本的拡充をはかります

消費者センターなどによせられる消費者被害の相談は、5年連続100万件を超えています。「通信販売」「訪問販売」「電話勧誘」とともに「マルチ取引」をめぐる被害が増え、保険会社による保険金の未払い問題、架空請求や高齢者・障害者をねらった悪質商法も後をたちません。餃子事件、汚染米、食品偽装問題をはじめとした「食の安全」が脅かされ、石油温風器や湯沸かし器などによる製品事故では、命が奪われる事態も生じています。

こうした消費者被害の背景には、政府が企業のもうけのために「規制緩和」をすすめ、従来の「事前」規制をやめて、問題が起きてからの対処に重点を置いた「事後」チェックへ切りかえたことがあります。“汚染米”問題でも、自民、公明が2003年に、「米ビジネスの発展」と称して、米の取り扱い業者を登録制から届出制に「規制緩和」し、政府の米流通の管理責任を完全に放棄してしまったことが原因の一つです。しかも「事前」規制にかわるとされた「事後」チェックは、「消費者の自己責任」を強調するもので、結局、消費者の救済に実効ある対策をとられてきませんでした。

日本共産党は、消費者の安全・安心よりも、企業のもうけを優先する政治をきりかえ、国、地方自治体、企業の責任で、「事前」の規制も「事後」の規制もきちんと実施させて実効ある措置をめざし、安全・安心をはじめとした「消費者の権利」をまもります。

1、「消費者庁」「国民生活センター」の機能強化をはかります

「消費者庁」「消費者委員会」を真に実効あるものに-――消費者団体や消費者運動の悲願のひとつであった「消費者庁」「消費者委員会」が9月にも発足します。「消費者庁」が消費者問題についての司令塔的機能を、「消費者委員会」が全省庁を監督する機能を、それぞれ効果的に発揮するために、体制や人選を適切なものにします。また、消費者被害救済の最前線で奮闘している消費生活相談員の体制を強化し、待遇を改善するために、十分な補助をおこないます。

 国民生活センターの拡充―――情報提供や相談助言活動を強化し、商品検査業務の強化・拡充、紛争処理権限の付与などで、国民生活センターの拡充をはかります。そのための人員の配置、予算の増額を求めます。

2、「規制緩和」路線にストップをかけて「消費者の権利」をまもります

 食品衛生法の抜本的改善―――輸入食品の検査を強化し、総合衛生管理製造過程(ハサップ)制度の是正や、子ども・妊婦・病弱者への影響を最大限配慮した安全基準の設定、消費者へのすばやい情報の提供など、食品衛生法を抜本的に改定します。

 牛肉輸入では牛海綿状脳症(BSE)対策として、全頭検査、危険部位である脊髄など神経組織の完全な除去、トレーサビリティが不可欠です。政府が求めた条件でさえ違反を繰り返す米国産牛肉は、輸入すべきではありません。

「食の安全」のために食料自給率向上のための取り組みに本腰を入れ、さしあたり50%台にのせます。

食品の表示の徹底―――消費者を守るために、安全を求め正確な情報を知る「消費者の権利」を確立し、「消費者のための表示」という考え方にたって表示制度を改革します。食品表示について、JAS法、食品衛生法、景品表示法など複数の法律がかかわって錯綜している点を一元化するため、統一的な食品表示法を制定します。

消費者への情報公開を進め、食品材料のトレーサビリレティを向上させるためにも、消費者の選択を保障する見地から、全ての加工食品の原料原産地表示を実施するために制度改正を行います。製造年月日表示を導入し、遺伝子組み換え食品については、表示の義務付けを、重量割合で上位3位で同時に5%以上の「主な原材料」に限定している現行制度を改め、全面的に表示するようルールを改善すべきです。加工食品で原産地の表示義務があるのは、限られた品目で原材料にしめる重量割合が50%以上のものだけであり、表示対象を抜本的に拡大します。

遺伝子組み換え食品・飼料のほとんどは、急性毒性とアレルギー誘発性の審査しかされず、慢性毒性や発がん性など消費者が確認を望んでいる安全性の審査としては全く不十分です。「全食料品・飼料のGM表示義務化」のために表示制度を改善します。

偽装表示を抑制するために、JAS法の改正によって、直罰方式による厳罰化を全面的に導入します。

クローン技術は、出生率が極端に低く、安全性の検証なども不十分で、未成熟な技術です。クローン家畜由来食品の生産、流通を認めることについては、慎重でなければなりません。海外からの輸入品で、不用意に流通、消費することがないよう監視を徹底します。もし十分安全性が確認されて、生産、流通が認められるようになっても、クローンによって生産された肉などについては、当然、消費者の知る権利を保障するため、クローン由来食品として表示します。

食品の検査体制の強化―――表示制度を確立するには、表示内容を検証するための検査体制の確立が不可欠です。

 輸入食品の検疫体制の現状では、加工食品が無検査で輸入され、輸入食品全体の検査率でみても、わずか10%にすぎず、食の安全・安心を確立することはできません。食品衛生監視員を大幅に増員し、加工食品の残留農薬検査を実施して、検査率をせめて50%までに早急に引き上げるべきです。農林水産省、都道府県、保健所との連携を強め、偽装表示の摘発をすすめます。

 製造物責任法(PL法)の抜本的改定―――欠陥製品による被害者の救済は不十分です。PL法での企業責任を追及しやすくするために、欠陥や因果関係の推定規定の導入、企業側による立証責任、リコール隠しをするような悪質企業には懲罰的賠償を命じるなどの改善をおこないます。

 消費者契約法の抜本的拡充など―――事業者の情報提供義務の明記、「適合性の原則」(消費者の知識・経験・財産の状況を事業者が配慮する)の導入、契約取り消し期間の延期、誤認して結んだ契約の取り消し範囲の拡大など、消費者契約法の改正を求めます。改正貸金業法の完全施行を早期に実現します。

 日常生活用品や遊具・建造物などの安全確保―――日常の生活用品での死傷事故、エレベーター、エスカレーター、プール、ジェットコースターなどの設備による事故や建物の耐震強度の偽装、原発のトラブル隠しなどが相次いでいます。「ヒヤリ」・「ハット」情報もふくめた事故情報の一元的な収集・公開、事故分析体制の充実、行政と企業の責任による安全基準のいっそうの厳格化、消費生活用製品安全法の抜本的拡充をはかります。リコール制度の拡充、被害救済の充実、社告の改善などをすすめ、虚偽報告・リコール隠しなどの悪質な不正行為を防止するため、行政の監督を強めます。

3、消費者支援をつよめます

 消費者団体訴訟制度の改善―――消費者団体訴訟制度が施行されて2年が過ぎました。消費者団体が使いやすい制度に改善します。受け皿団体への行政のもっている情報の提供や財政的援助の強化、不当な事業者利得を吐き出させる制度の導入などをすすめます。

 NPOへの支援の強化―――NPOの自主的な活動は、国民生活を豊かにする上でも、社会全体の発展のためにも重要な役割をもっています。NPOの自主性を尊重し、行政との対等の関係を保ちつつ、活動資金の助成や活動に必要な施設・設備の提供、公的機関への寄付窓口の設置など柔軟な支援を強めます。税制の優遇措置をうけやすくするための改善をおこないます。

 消費者教育の充実―――学校での体系的な消費者教育をすすめます。公的機関による消費者教育の充実はもちろん、社会教育活動として、地域の住民や団体を対象にした、自主的な消費者教育運動への支援を強化するよう要求します。

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