日本共産党
SEISAKU
SOUGOU,YUUSEI

2009年 総選挙政策 《分野別政策》

22 通信・放送

通信・放送事業を国民本位に発展させます

国民サービスの拡充、どんな利権も許さない郵政事業に――郵政民営化を中止します

自民・公明は4年前の衆院選で、郵政民営化を「改革の本丸」などとして、民営化すれば、社会保障の充実、地方経済の立て直し、戦略的外交の推進、安全保障の確立などにもつながるという荒唐無稽な「バラ色」の大宣伝をしました。しかし、こうした民営化の「バラ色」の宣伝は、すべてメッキがはがれ落ちました。それどころか、簡易郵便局の閉鎖、郵貯ATMの撤去、各種手数料の引き上げ、時間外窓口の閉鎖、集配郵便局の統廃合など、国民サービスが大きく後退しました。

 しかも、民営化によって、国民共有の財産を食い物にする「新しい利権構造」と腐敗が次々に明らかになっています。「かんぽの宿」をはじめ郵政事業として保有していた資産の「たたき売り」や郵貯カード事業との提携で利益をあげたのは、西川善文日本郵政社長の出身銀行である三井住友グループや、規制緩和の旗振り役だった宮内義彦氏が会長を務めるオリックス・グループです。自民党・公明党は、「郵政民営化によって利権がなくなる」などと宣伝してきましたが、実際には、古い利権から新しい利権に変わっただけです。

郵政事業は、長年にわたり、国民の貯金や保険料、郵便料金で培ってきた国民の共有財産であり、地域住民の暮らしを支える重要な役割を果たしています。それが、民営化をすすめた営利企業によって食い物にされているのです。西川社長をはじめ、新たな利権を拡大し、国民共有の財産を食い物にさせた経営陣の責任は重大です。

国が保有している郵政株の売却を中止し、郵政民営化路線を根本から転換する……今必要なことは、国民が安心して利用できる郵便・貯金・簡保などのサービスを提供することです。郵便局ネットワークによって提供されている生活に不可欠なサービスを「ユニバーサルサービス」として義務付け、全国あまねく提供されるように力をつくします。そのためにも郵政事業を、三事業一体の運営を堅持し、ユニバーサルサービスを守り、利権を許さない公的な事業として再生します。

郵政事業を国民に開かれた、国民へのサービスに徹する事業にするための改革にとりくむ……「かんぽの宿」の売却問題など、民営化をめぐる利権についての実態解明をすすめます。郵政関連事業が高級官僚の天下り先になり、ムダな施設をつくっている問題にもメスを入れます。民営化後、いっそうひどくなっている郵政事業での非正規雇用の拡大、「使い捨て」の働かせ方を改善します。

中小企業、住宅、福祉・医療施設などへの資金供給……これらの分野の資金供給は、民間銀行などの「市場まかせ」ではなく、公的金融による支えが必要不可欠です。こうした公的金融の原資として、郵貯・簡保資金を活用します。

2011年7月のアナログテレビ放送の停止の延期を求めます。

 政府が“国策”として進めているテレビ放送のデジタル化の期限である2011年7月まで2年を切りました。放送局の側でも国民の側でも準備が不足しており、このままではテレビを視聴できない「テレビ難民」が多数生まれかねません。

政府は、NHK受信料全額免除世帯のうち、生活保護受給世帯、市町村民税非課税の障害者世帯、社会福祉事業施設入所者など(約260万世帯)に対し、アナログテレビのままでも地デジ放送が受信できるように、デジタル受信機の無償給付・改修を行う予定です。しかし、この方法では、住民税非課税の世帯や低年金の高齢者世帯などは対象外のまま放置されてしまいます。また、ケーブルテレビで地デジ放送を視聴する場合、NHKや民放以外の有料チャンネルを含めた料金設定(月額4千円から5千円)がほとんどであり、「料金が高すぎる」、「地デジ放送のみの料金設定をしてほしい」という声があがっています。

国内で普及している1億2000万台のアナログテレビのうち、地デジテレビの普及数は約3300万台に過ぎません。総務省の情報通信審議会の報告書(『第6次中間答申』09年5月)によると、受信障害対策共聴施設(マンションなどのビル影共聴)は、全国に約606 万世帯ありますが、そのうち8割の世帯でデジタル化がすんでいないといわれています。また、山間部等でのテレビ視聴障害に対応する「辺地共聴施設」は、全国に約136 万世帯ありますが、ここでも6割から7割の世帯がデジタル対応できていません。さらに、マンションなどの「集合住宅共聴施設」は、全国に約200 万施設(約1,900 万世帯)ありますが、このうち、小規模な施設、老朽化した施設等については、住民の費用負担が重すぎること等からデジタル化が進んでいません。これは、国や事業者が責任を果たさず、「当事者まかせ」にしていることが大きな原因です。こうした現状のまま、予定通りアナログテレビ放送が停止されれば、少なくない家庭でテレビが見られなくなるなど大変な混乱が予想されます。

日本共産党は、2011年7月のアナログテレビ放送停止計画を見直し、普及率や買い替えのサイクルに見合った時期に延期することを求めます。ケーブルテレビで地デジのみの低料金設定がされるよう求めていきます。「当事者まかせ」ではなく、国や放送事業者などの責任で、デジタル受信機の購入困難者やデジタル放送受信困難地域などへの援助を行います。

情報・通信、携帯ブロードバンド通信サービスをあまねく全国にひろげ、情報格差の是正をすすめます

 デジタル技術や光ファイバの活用など、近年の技術革新で、多様な情報通信サービスや放送サービスが発展してきました。画像や動画も送受信できるブロードバンド通信や携帯が、固定電話とともに生活の必需品となっています。ユニバーサルサービスとして国民にあまねく提供することが法律で保障されているのは、固定電話と公衆電話、110番などの緊急通報だけですが、これを携帯やインターネットなどに拡大し、全国どこに住んでいても、これらのサービスが享受できるようにします。

 また、高齢者にも使いやすい情報通信端末や、視覚障害・聴覚障害などのハンディキャップに対応した情報通信端末の開発を支援し、情報格差(デジタル・デバイド)の解消をすすめます。

 現在、過疎地域などに電話サービスを提供しているNTTの赤字分を補填するために、電話番号あたり7円のユニバーサルサービス料金が利用者から徴収されていますが、これを事業者が負担する制度に変更します。

 技術革新の負の側面への対応も重要な課題となっています。電話からブロードバンド通信への移行が進展する中で、インターネットを活用した電話や通信が全国規模で長時間にわたって使用できなくなるなどの「重大事故」が増加しています。こうした事故の報告制度を強化し、通信事業者の対策を促進します。インターネット上の有害情報については、政府の介入によらない規制のあり方を検討・具体化します。

テレビ放送の内容への介入を進めてきた放送行政の抜本的改革を行います。

 インターネットを利用した放送が可能となるなど、通信と放送の技術の垣根は低くなっています。これを理由に、通信と放送に関する法体系の総合的な検討が行われていますが、その検討の中心は、放送事業参入のための「規制緩和」と放送内容に対する政府の規制のあり方などです。国民の共有財産で貴重な資源である電波を利用し、全国あまねく放送されるテレビ放送に法律に基づく規制が行われるのは当然のことですが、放送局の許認可や放送内容に対する規制を政府・総務省が直接行っているのは、先進国では日本ぐらいしかありません。「命令放送」などによる放送内容への直接的な介入だけでなく、日常の行政指導を通じた介入も強められています。

言論・表現の自由にかかわる放送行政の規制は、政府から独立した規制機関が行うのが世界の常識です。総務大臣の監督ではなく、新たに「放送委員会」(独立行政委員会)を設置し、放送行政を規律するように制度改正を行います。放送事業の「規制緩和」の問題では、実際に放送番組を制作している番組制作会社やプロダクションが制作者としてふさわしい権利を行使できるように、権利関係を整理していきます。また、放送事業者による下請業者に対する劣悪な制作環境の強要をやめさせます。

 NHKの改革では、何よりも、政治権力からの独立、不正経理の根絶など、公共放送として信頼を回復することです。NHK受信料の義務化は、受信料の税金化となり、NHKを公共放送から国営放送と変質させるものであり、反対します。

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