標準色 | 白黒反転 |
子どもの権利条約が国連で採択されて20年がたちました。子どもの権利条約は、あらゆる施策に子どもの「最善の利益」を考慮すべきことをうたっています。世界では、子供の権利条約にもとづいて、子どもと家族のための施策と支援をさまざまに充実、発展させてきました。
ところが日本では、子どもの権利を守ることや子育てに対する社会的なサポートが、先進諸国のなかでもきわだって遅れています。自公政権による「構造改革」路線のもとでひろがった貧困と格差は、子どもたちにも大きな影響を与え、子どもの貧困率はOECD諸国30カ国中で12番目に高くなっています。子どもの7人に1人が貧困のなかに育ち、給食費が払えない、修学旅行にいけない、高校進学をあきらめざるをえないなどの事態がひろがっています。
これらの原因は、政府が、不安定な雇用と低賃金、長時間労働をひろげ、教育、社会保障の切り捨てをすすめるとともに、子育てへの支援や保育、教育など家族を支える政策を怠って、子育てを親の「自己責任」にしてきたためです。
大企業の利益優先で、子どもと家族に冷たい政治をただし、人間らしい働き方とくらしの実現、保育所の充実など総合的な子育て支援をつよめます。最も困っている子どもと家族への支援を充実させ、子どもの貧困をなくします。子育て支援の財源は、軍事費と大企業・大資産家優遇という2つの聖域をただしてつくるべきです。また現金給付だけでなく、深刻な保育所不足の解消や安定した雇用、母子家庭への支援を強化します。子どもの権利条約の立場をつらぬき、子どもたちが大切にされ、だれもが安心して子育てできる社会をめざします。
安心して子どもを生み、育てるためには、安定した雇用と人間らしい働き方、経済的にも安定していることが不可欠です。雇用は正規が当たり前の社会、労働時間や賃金、休日などでゆとりある働き方ができる社会にするとともに、妊娠・出産、子育てに対して社会全体で支援をつよめます。
青年と女性の2人に1人が非正規雇用です。結婚、子育てに直面する年代である25歳から34歳の労働者のうち年収200万円に届かない人は300万人以上にのぼります。これでは結婚も子育ても困難です。安定した雇用を保障することは企業の社会的責任です。民主党政権の派遣法「改定」は、製造業への派遣禁止でも、登録型派遣禁止でも大きな“抜け穴”があり、重大な問題をもっています。派遣法製造業への派遣はすべて禁止し、登録型派遣も真に専門的なもの以外きびしく制限すること、違法行為があった場合に直接雇用したものとみなす規定の導入、均等待遇などを内容とする抜本的な法改正を行い、派遣労働は一時的臨時的なものに限定し、正規化と均等待遇、労働条件の改善をすすめます。パート労働者への差別禁止、均等待遇を明記したパート労働法改正をすすめます。時給1000円以上への最低賃金の引き上げと全国一律最低賃金制の確立で、非正規労働者の賃金を底上げします。
多くの若い父親がもっと子育てにかかわりたいと願っているにもかかわらず、長時間過密労働のために、現実にはできません。30代の男性で週60時間以上働く人が4分の1にのぼります。サービス残業の根絶とともに、残業時間の上限規制で長時間労働を改善し、男性も女性も子育てにかかわるゆとりをとりもどします。子育て中の変則勤務、夜間・休日出勤、単身赴任などを制限します。
妊娠・出産をつうじて働き続ける女性はいまもごくわずかです。7割が第1子出産を前後して仕事をやめており、この比率は20年来、ほとんど改善されていません。厚労省の雇用均等室には、年間3654件(09年度)の妊娠・出産による解雇や嫌がらせなど不利益取り扱いにかかわる相談が寄せられています。育児休業の取得による解雇や不利益取り扱いなど、いわゆる「育休切り」の相談も1657件と増加しています。違反企業への指導の徹底、罰則の強化などで妊娠・出産、育休取得などにともなう解雇・不利益取り扱いを根絶します。女性労働者が妊娠・出産で昇給や昇進・昇格等が不利にならないようにします。
育児介護休業制度は、改善をもとめる声を背景に一歩ずつ改善がすすんでいます。育児休業取得率は、正規で働き続けている女性の9割近くに前進しています。しかし、非正規雇用労働者は、とりたくてもなかなかとることができない状況です。雇用状況の悪化のもとで、不利益取り扱いも増加しています。男性の取得率はいまだに1%台です。深刻な保育所の待機児童問題から、育児休業を早く切り上げた、延長せざるをえなかったなどの事態もひろがっています。
だれもが育児休業をとりやすい制度に改善をすすめます。 休業中の所得保障を6割に増額します。休業期間の延長、中小企業への助成や代替要員の確保、ヨーロッパ諸国の「パパクオータ制度」なども参考にした男性の取得促進策の改善、取得すると昇進・昇格にひびくといった不利益取り扱いをなくすなど、男女ともに安心して利用できる制度にします。派遣やパートなど有期雇用労働者の取得条件をひろげます。子どもが病気のときの「子どもの看護休暇」は、学校行事への参加などにも使える「家族休暇」制度に拡充し労働者1人10日に増やします。短時間勤務制度や残業免除制度などの子の対象年齢をひろげます。
低賃金、不安定雇用のもとにおかれている若い世代にとって、結婚・出産にふみだすためには大きな経済的負担がかかります。公共住宅の建設や「借り上げ」公営住宅制度、家賃補助制度、生活資金貸与制度など、国や自治体による支援を特別につよめます。
保育所に申し込んでも入れない待機児童は、09年秋で約4万6千人にのぼりました。この4月の入所時期も、入所希望者が殺到し、各地で、母子家庭や育児休業あけ、休職中など、すぐに保育を必要としている親子が入所できない事態がひろがりました。保育所不足の深刻な事態をつくりだしてきた原因は、必要な認可保育所をつくらず、定員を超えた詰め込みや認可外の保育サービス活用などの安上がりの「待機児童対策」に頼ってきた、旧自公政権にあります。この路線を転換し、国の責任で認可保育所の建設、保育環境の改善をすすめます。 (くわしくは保育「緊急提言」参照 リンク)
http://www.jcp.or.jp/seisaku/2010/20100430_taikijidou_mondai.html
これまでの「規制緩和」路線をきっぱりと転換し、国の責任で認可保育所の建設と保育環境の改善をすすめます。4月30日に発表した保育の「緊急提言」は、「認可保育所整備計画」をつくり、当面1年に10万人分、3年間で30万人分の認可保育所を新・増設することを提案しています。
そのために、保育所建設費への国庫補助率を2分の1から3分の2に引き上げ、公立保育所への国庫補助を復活させること、利用可能な国有地の優先利用、建設用地取得への助成などの財政的支援を充実させます。人口密集地や過疎地では小規模な認可保育所も可能にし、待機児童の多い3歳未満児保育への補助を手厚くします。認可外保育所に対する国の助成制度を創設し、認可保育所への移行を促進、保育条件の向上を図るとともに、悪質な業者に対する指導・監督を強化します。
「規制緩和」による定員を超えた子どもの詰め込みと、公立保育所の運営費等の一般財源化などの国の保育予算の削減・抑制によって保育士の非正規化、公立保育所の民営化が急速にひろがったことが、保育所の安心と安全をおびかやかしています。
安心して預けられ、子どもたちの健やかな成長を保障する保育環境をつくるために、認可保育所建設で計画的な定員超過を改善するとともに、保育士の正規化と賃金など労働条件を専門職にふさわしく改善します。高すぎる保育料の父母負担を低中所得層対象に3割軽減します。保育室の面積や保育士の配置などを定めた保育所最低基準は、諸外国と比べても低すぎるものです。民主党政権がすすめているいっそうの「規制緩和」や最低基準の撤廃を許さず、子どもの権利条約や欧米諸国の水準にむけて最低基準の改善、引き上げをめざします。
年間10万人分の認可保育所建設と保育士の正規化・労働条件の改善、保育料の負担軽減のために必要な国の予算は、総額で4000億円程度です。軍事費と大企業減税などにメスを入れること、とりわけ米軍経費3370億円など年間5兆円近い軍事費のごく一部、また民主党が来年度子ども手当につぎ込もうとしている5兆円の1割以下で可能です。
民主党政権は、児童福祉法24条に定められている保育に対する自治体の実施責任をなくし、「直接契約・直接補助」、「受益者負担」の導入、民間企業の参入の拡大など、自公政権がすすめてきた保育制度改悪をそのままひきつぐことを明らかにしています。さらに保育や子育て支援サービスに関する制度も予算もすべて自治体に丸投げして、国の責任を放棄する方向を検討しています。
公的責任を明記した現在の制度をまもり、制度改悪の検討をただちにストップさせます。保育予算を抜本的に増額させて、認可保育所の建設、保育環境改善をすすめます。
また、政府は、「幼保一体化」を急いでいますが、幼稚園と保育所の実態の分析や就学前の子どもの教育・保育はどうあるべきかという専門家、国民による議論をつみかさねながら、長期的視野で検討すべきであり、待機児童対策や経済効率からの拙速な「幼保一体化」には反対です。幼稚園でも保育所でも、どの子も手あつい教育、保育を受けられるように教育・保育条件を高めることが前提です。
学童保育は、働く親が安心して働き続けられ、子どもたちが安全な生活をおくり成長するための大切な場です。しかし3割以上の小学校区に学童保育がなく、まだまだ不足しています。待機児童や大規模化、詰め込みも深刻です。放課後や夏休みなど、毎日過ごす「遊びと生活の場」にふさわしく、量質ともに充実を図ります。
希望する子どもが全員入所できるよう新増設をすすめます。大規模化の解消、保育料の父母負担の軽減、指導員の正規化、複数配置、生活が保障できる賃金など労働条件の改善、研修の充実をはかります。そのために国の学童保育予算を抜本的に増額します。
父母や学童関係者の運動を背景に、07年に施設や職員、運営などのガイドラインがつくられました。さらに国と自治体の責任を明確にした制度にし、国による設置・運営基準を定めて、地域格差の改善、条件整備をすすめます。
学童保育と、すべての子どもを対象とした「放課後子ども教室」などは、それぞれ拡充します。
希望する数まで子どもを生めない理由のトップは、「子育てや教育にお金がかかりすぎる」(56・3%、内閣府調査)です。不安定雇用の増加、労働者世帯の収入減など国民生活がたいへんになっているもとで、親の貧困と格差が、そのまま子どもの貧困と格差につながっています。フランスやドイツなどヨーロッパ諸国では、非常に手厚い子育て支援のための施策がおこなわれており、経済的な心配なしに子育てすることができます。また、子どもの貧困率をひきさげる具体的な目標と施策を明確にしたとりくみをすすめています。日本でも、子育てへの経済的支援をつよめ、子どもの貧困の克服に力をつくします。
貧困が原因で子どもたちが必要な医療を受けられないという事態を放置することはできません。すでに全都道府県・市区町村が何らかのかたちでおこなっている子どもの医療費助成制度を、「国の制度」として確立し、子どもの医療費を所得制限なしで、まず当面は小学校入学前まで無料化します。これによって都道府県市区町村ですすめている制度が上乗せ、底上げされるよう、各地でいっそうの拡充をはかります。
「私立幼稚園の入園料、教育費、高すぎます」「保育料が高くて負担が大変」など、保育料の軽減を求める声は切実です。幼稚園に通う子どもの親に対する国の助成制度を拡充します。保育所の保育料は、保護者の収入に応じて定める制度を堅持します。各自治体が独自の努力で保育料の減免、負担軽減をすすめていますが、なにより必要なことは高すぎる国の保育料基準額を改善することです。国の負担で低中所得家庭の保育料を3割程度引き下げます。一定の基準を満たした無認可保育所に通わせている家庭への保育料助成制度をつくります。
希望するどの子も高校、大学に進学できるように学費の負担軽減、奨学金拡充をすすめます。民主党政権がおこなった高校授業料の「無償化」は一歩前進ですが、公立でも制服代などの負担がひきつづき重く、私立授業料の負担軽減は一部です。私立の授業料無償化をめざすとともに、公立にかよう低所得世帯にたいする制服代、交通費、修学旅行費への支援制度をつくります。
国立大学の授業料減免を広げ、私立大学の授業料負担を減らす「直接助成制度」を創設します。国の奨学金を以前のようにすべて無利子に戻し、返済条件緩和を拡大します。とくに就学が困難な生徒・学生のため、欧米では主流の返済不要の「給付制奨学金制度」を創設します。
生活困窮世帯の子どもに給食費・学用品代・修学旅行費などを援助する「就学援助」の受給者が急増しており、就学援助制度の役割はますます重要になっています。しかし政府が2005年に国庫補助を廃止したことから、支給額や基準を切り下げる自治体も増えています。国庫補助を復活し、拡充します。
また子ども手当の支給にともなう自治体の独自施策の削減・廃止はしないよう自治体への助成拡充をはかります。
長時間・過密労働が広がるなかで、高齢妊娠、ストレス、切迫流産をかかえる妊婦が増加しています。母体や胎児の健康のための妊婦健診はいっそう重要です。経済的負担の心配なく妊婦健診を受診できるように、政府がのぞましい健診回数としている14回分を全国どこでも負担なしに受けられるようにします。
出産育児一時金の増額を恒常化し、さらに充実させます。パートなどの非正規雇用や、業者、農業などを問わず、安心して産前産後休暇がとれるように、国保に出産手当金制度を創設するなど休業中の所得保障、社会保険料免除などをすすめます。
高額な費用がかかる特定不妊治療費の助成額の増額、所得制限の緩和をはかります。不妊治療について健康保険の適用範囲の拡大をめざします。不妊専門相談センターの整備・拡充をはかり、カウンセリング体制の強化をすすめます。
日本のひとり親家庭の貧困状態は先進国のなかで最悪水準です。なかでも母子家庭の平均所得は、児童扶養手当などをふくめても年約231万円、高齢者世帯を含む一般世帯の4割、子どものいる世帯の3分の1で、9割近くが「生活が苦しい」と感じています。母子家庭も父子家庭も安心して暮らし、子育てができるように、ひとり親家庭への支援を強めます。
自民、公明、民主党などがおこなった児童扶養手当の支給から5年後に半減という制度改悪は、運動と世論の批判を受けて「凍結」しています。しかし、「就労が困難な事情」の証明書類の提出など、「就業意欲」による線引きの考えは変わらず、約4000世帯が手当を削減されています。児童扶養手当は、子の福祉の立場にたった充実をはかり、支給額の引き上げ、対象の拡大などをすすめていきます。子どもの扶養者が公的年金を受けていると児童扶養手当を受給できないなどさまざまな問題の改善もすすめていきます。
母子家庭にとって長期の安定した雇用が切実です。母子家庭の母親の85%が働いていますが、非正規労働者がふえて常用雇用を上回っています。パートや派遣の正社員化、非正規雇用と正規雇用の均等待遇などをすすめ、母子家庭の仕事と収入の安定をはかっていきます。パートを正規雇用に転換した事業主にたいする奨励金や資格取得や技能訓練費など、いまある国の支援制度も充実させていきます。
父子家庭の年収は母子家庭を上回るものの、就労収入が300万円未満の世帯が37%、200万円未満も16%にのぼっています。長時間労働を強いられ、子育てのために仕事を変えざるをえない人も少なくありません。運動と世論で父子家庭にも児童扶養手当が支給されることになったことは、一歩前進です。さらに、母子家庭とともに父子家庭の実態・要望調査をすすめ、母子家庭におこなわれている支援を父子家庭にもひろげるなど、父子家庭に必要な子育て・生活支援などを強めます。
ひとり親家庭にとって保育所入所は切実です。法律にひとり親家庭の保育所優先入所への配慮を謳い、通達も出ていますが、実際には入ることができず働くこともできないなどの悲鳴もあがっています。保育所の増設をすすめ、ひとり親家庭が安心して優先入所できるようにします。安価で良質な公共住宅を供給します。
母子家庭の寡婦控除を受けられないシングル・マザーにも、税控除がうけられるよう、制度を改善します。
どのような家庭、環境にあっても、子どもの命と健康、安全と成長が最優先に保障される社会をつくらなければなりません。医療、福祉、教育の充実で安心して子育てでき、一人ひとりの子どもが必要としている専門的な支援が受けられるようにします。
地方でも都市でも、「お産難民」「医療崩壊」ともいえる医師不足による小児科・産科などの病棟の休止、病院の閉院などの事態が進行しています。旧自公政権がすすめてきた社会保障切り捨て政策によるものです。出産できる病院・診療所は、2006年までの5年間で6398カ所から3613カ所に激減しました。救急医療施設も1割減少し、国民のあいだに深刻な不安をひろげています。民主党政権も、地域医療支援の事業の「事業仕分け」をおこない、ムダ削減の名目で予算をカットし、そのなかには産科・小児科に関わる事業、女性医師の就労支援事業などもふくまれています。救急医療体制の予算も削減されています。
公的病院の産科、小児科切り捨てをやめ、早期復活をはかります。国の責任で医師の養成・確保、診療報酬の改善、予算の増額をすすめ、安心して出産、子育てできる医療体制の整備、小児救急医療体制の確立をはかります。
はじめての出産や、貧困などさまざまな問題を抱えた家族にたいして、きめ細かな相談体制、個別の訪問活動などの支援体制の拡充、保育所への入所や一時保育、子育て支援事業など、子育て不安を軽減する取り組みを地域全体ですすめます。
格差と貧困のひろがりを背景に、児童相談所に寄せられた児童虐待の相談件数は増え続け、08年度は過去最高の4万2662件にのぼっています。児童虐待の防止、早期発見、子どもと親への専門的な支援などの独自の施策をつよめます。早期発見で子どもを守るために、保育所や学校、病院、児童相談所、保健所、子育て支援センター、児童養護施設など、子どもにかかわる専門機関の連携をはかるとともに、職員の専門的な研修をつよめます。相談支援体制を充実させるために、児童相談所の増設、職員の抜本的な増員と専門性向上のための研修の充実、一時保護施設や児童福祉施設の整備増設、設備や職員配置の改善をはかります。虐待を受けた子どもへの専門的なケア、親にたいする経済的、心理・医療的、福祉的な支援をつよめます。
経済的、社会的事情をもった親が子育てできない状況におちいったり、予期せぬ妊娠に悩んだ時に、身近に相談できる体制を整備します。
児童福祉行政の中核的役割を担う児童相談所は全国で200カ所足らず、乳児院は120カ所程度しかありません。児童相談所や児童福祉施設、小児病院や保健所、子育て支援センターなどが連携して、親が育てられるための支援をつよめるとともに、困難な場合の受け入れ施設の拡充をすすめます。
民主党政権がすすめる児童養護施設などの最低基準廃止、自治体まかせをやめさせ、国の責任で、きわめて不十分な職員配置や貧弱な施設整備の改善を急ぎます。施設に暮らす子どもたちの教育、進学への支援をつよめます。里親制度は子どもたちを家庭的環境で育てるために重要な制度です。いっそうの拡充をはかり、里親への支援や研修の充実、制度の周知をすすめます。
民法の婚外子差別の条項の是正、無戸籍児の解決など、親の事情で子どもが差別されない社会をめざします。
どの子もていねいに育て、わかる授業をすすめるためには、少人数学級が必要です。全都道府県に自治体独自の努力でひろがっています。国として「30人学級」を実施させます。子どもたちにストレスと重い負担をもたらしている、ゆきすぎた競争と格差づくりの教育をやめさせます。
不足している特別支援学校の教室・教員不足の解消など、条件整備をすすめるとともに、学習障害など軽度発達障害をふくめてどの子にもていねいな教育ができるよう、特別支援学級や通旧指導教室の抜本的な拡充、少人数学級化など、きめ細かな対応をすすめます。
ストレスなどで傷ついた子どもたちのケアや、学校に行けない子どもの教育権の保障のための公的支援をつよめます。相談しやすい窓口を拡充するとともに、不登校や「ひきこもり」などの「親の会」やフリースクールなどへの公的支援を拡充します。
日本でくらす外国人の子どもたちへの教育を保障するため、日本語教室設置、公立学校への入学資格の改善などをすすめます。
子どもたちの成長、発達にとって、生きいきとした遊びや豊かな文化・スポーツにふれることは不可欠です。子どもたちの生活圏内に安全で安心して遊べる公園や児童館、プレイパーク、青少年がスケートボード、フットサルなどを楽しめる広場の確保をすすめ、そこでの自主的な活動を支援します。演劇や映画、音楽などさまざまな芸術・文化に親しめるように、文化団体、地域の活動を応援します。学校公演(鑑賞教室)の支援を充実します。
日本は子どもの権利条約批准国であるにもかかわらず、子どもたちの権利を守る施策があまりにも不十分です。旧自公政府がすすめてきた全国いっせい学力テストのような過度の競争をあおり、管理をつよめる教育をただちに改善するとともに、人間らしい安定した雇用、社会保障や福祉の充実など、社会全体のあり方を変え、子どもたちがストレスをかかえて自己肯定感も将来への希望も持てないというような事態をなくしていかなければなりません。
いまほど、一人ひとりの子どもが真に大切にされる社会へ、子どもの権利条約の立場で、子どもと子育てをめぐる問題を見直すことが求められているときはありません。政府と社会が、「子どもの最善の利益」のために、福祉、教育、文化、子育て支援の充実を最優先にはかることは、国際的には当たり前のことになっています。子どもの権利条約を社会のすみずみに実現するための国民の共同をひろげます。