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10.高齢者

高齢者が安心してくらせる社会をつくります

 高齢者が安心して暮らせる社会をつくることは、政治の重要な責任です。

 ところが民主党政権は、後期高齢者医療制度の即時撤廃という公約を投げ捨て、しかも、年齢による差別の対象を「65歳以上」にひろげるという高齢者いじめをつづけようとしています。家族介護の解消をめざすとして発足した介護保険制度が発足して10年。特別養護老人ホームの待機者が42万人にのぼるなど、「保険あって介護なし」の様々な問題点が噴出しています。にもかかわらず民主党政権は、何ら有効な打開策をしめしていません。高齢者の不安は募るばかりです。

 貧困で厳しい生活を余儀なくされている高齢者は数多くいます。年所得200万円以下が40.5%、年100万円未満も15.7%にのぼります(08年「国民生活基礎調査」)。高齢者に、「自助努力」、「自己責任」を強要し、負担増と福祉切捨てをすすめる「構造改革」路線をキッパリと中止し、社会保障拡充へと転換させることが必要です。

日本の70歳以上の高齢者は2017万人となり、2000万人を突破しました(08年9月15日現在の推計)。戦前、戦中、戦後の苦難の時代を、身を粉にして働きつづけ、家族と社会のためにつくしてきた人たちです。

日本共産党は、高齢者が大切にされ、安心して老後をおくれる社会の実現をめざして全力をあげます。

後期高齢者医療制度は一刻も早く廃止……後期高齢者医療制度廃止の先延ばしは許せません。民主党政権が2013年度の導入を検討している高齢者医療の「新制度」案は、65歳以上の高齢者を現役世代と「別勘定の国保」に加入させ、負担増や年齢による差別の対象を「75歳以上」から「65歳以上」に広げるというものです。差別医療の温存・拡大にほかなりません。後期高齢者医療制度はすみやかに撤廃して、元の老人保健制度に戻します。

 医療費の重すぎる窓口負担に、多くの高齢者が悲鳴をあげています。欧州諸国など先進国では、窓口負担は無料または少額の定額制です。日本でも、沢内村で始まった老人医療費無料化制度が、1973年から1983年まで国の制度として実現してきた歴史をもっています。日本共産党は、75歳以上の高齢者の医療費を無料化します。70〜74歳の窓口2割への負担増を撤回し、一律1割負担にします。

 国の責任で国保料(税)を一人当たり年1万円、緊急に引き下げます。削減された国庫負担を計画的に元に戻し、だれもが払える国保料(税)に改革します。

療養病床の削減計画をストップさせ、安心して入院治療・療養ができるよう体制をととのえます。

年金の充実……公的年金は、老後の暮らしをささえる柱です。ところが、国民年金しか受けていない高齢者の受給額は平均月約4万8千円にすぎません。月2万円、3万円という低額年金の人も多く、無年金の人は100万人を超えます。

日本共産党は、安心できる年金制度改革として、一人で月額5万円、夫婦で月額10万円の年金がうけとれる最低保障年金制度を創設します。全額国庫負担によるこの最低保障額の上に、それぞれの掛け金に応じて、給付を上乗せするようにします。

「消えた年金」問題の解決は、社会保険庁解体を口実にした責任逃れや体制の縮小を許さず、一人たりとも被害者をださず、一日も早く解決するという立場で、国の責任で解決します。

介護保険制度の見直し……老老介護に疲れ果てた、高齢者夫婦の痛ましい無理心中事件が後を絶ちません。重い保険料・利用料負担、深刻な介護施設の不足など、「保険あって介護なし」の事態を解決することは急務の課題です。

 日本共産党国会議員団の介護保険実態調査でも、「重い負担を理由にサービスを抑制している人がいる」との回答が7割を超え、「国庫負担の増額を」の声がトップで7割近くにのぼりました(2010年6月、介護事業所からの回答)。

日本共産党は、介護保険料、利用料など国民の負担増を抑えながら介護制度の抜本的改善をはかるために、介護保険にたいする国庫負担割合をただちに10%引き上げ、公費負担割合を60%にします。

所得の少ない高齢者が安心して介護を受けられように、国の制度として保険料、利用料の減免制度をつくります。ホームヘルパーによる「生活援助」などの給付制限をやめさせます。在宅介護サービスの利用制限の仕組みになっている要介護認定や利用限度額は廃止し、現場の専門家の判断で必要な介護を提供できる制度に改善します。

介護の人材不足を打開するために、事業所にたいする介護報酬を大幅に引き上げます。介護労働者の待遇改善をはかるため、国の責任で月額4万円の賃金引上げをすみやかに実現します。

特別養護老人ホーム42万人の待機者を解消するために、国の財政支援を大幅につよめ、施設整備を緊急重要課題として推進します。小規模・多機能の宅老所、グループホームが地域にきめこまかくととのえられるよう、国と自治体の財政支援をつよめます。

高齢者むけ住宅の増設……高齢者で、現在、居住している住宅で困っている人は4割を超えます。一方、特別養護老人ホームやケア付住宅などへの入居希望者も増えています。

 住宅のリフォームがすすめられるよう、介護保険の住宅改造費を拡充するとともに、自治体の住宅改造助成制度の新設・拡充をはかります。高齢者むけケア付住宅・施設の整備を急ぎます。

 公営住宅やUR(住宅都市再生機構)の賃貸住宅の建設をふやし、高齢者むけ家賃減免制度の拡充をはかります。

民間賃貸住宅に暮らす高齢者への自治体の家賃補助制度の普及をすすめます。

就業・雇用の保障……働く意欲と能力がありながら、まっさきにリストラの対象となるのは高齢者です。ハローワークに通っても、希望どおりの仕事につけるのは皆無に近く、中高年齢者の再雇用はきわめて厳しいのが実情です。

 高年齢者雇用安定法が改正され、年金の支給開始年齢の繰り延べにあわせて65歳までの段階的な雇用延長がすべての事業主に義務づけられました。雇用延長措置をとる企業は9割を超えていますが、希望者全員を採用しない、賃金が半分以下という企業が多数です。国は、法の趣旨からも、希望者は全員再雇用となるよう企業にたいして指導・監督をつよめるべきです。年齢による賃金差別はやめさせるべきです。アメリカやEUなどで実施されているような、「年齢による差別を禁止する法」(仮称)を制定することも必要です。

 地域の実情におうじて、高齢者の就労・社会参加の場をひろげることも大切な課題です。シルバー人材センターについて、賃金や労働条件、災害補償など改善をはかります。また高齢者の就労の場の確保のために活動している団体にたいして、行政が支援をおこなうようにすべきです。

安心・安全のネットワークづくり……一人暮らしの高齢者(65歳以上)は年々増えつづけ435万人にのぼります(08年)。誰にもみとられず亡くなるという痛ましい孤独死が各地でふえています。貧困と格差の象徴です。医療制度の改悪や冷たい生活保護行政、介護保険の導入を機に高齢者福祉にたいする行政の責任が大幅に後退したことも背景にあります。

行政が責任をもって、地域住民と協力しあい、高齢者を地域でささえる安心のネットワークをつくることが急務です。

 自治体やNPOなどがとりくんでいる、高齢者への配食サービス、見守り活動、緊急通報システムなどの普及・拡充をはかります。高齢者が積極的に外出し、住民同士で会食や交流などができるミニ集会所をきめこまかにととのえることも必要です。

 600万人に達するといわれる「買い物弱者」(買い物難民)をなくすため、移動販売車への補助、商店街・小売店への移動手段の確保などを行います。

 自治体と地域包括支援センターが、介護保険の対象者だけでなく、広く地域のお年よりの実態を把握し、安心のネットワークをつくりあげていくうえで役割を果たすことが必要です。そのためにも、国が地域包括支援センターへの職員の増配置や財政保障をつよめるようにすべきです。


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