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14.消費者

「消費者の権利」を実現するために、消費者行政の抜本的拡充をはかります

近年、ライター火災による子どもの被害が社会問題になっています。ガス湯沸かし器やエレベーターの事故など製品による重大事故があいついだことを受け、「重大製品事故報告」の義務づけなど一定の対策がとられましたが、製品の不具合によるリコールや食品の産地偽装などが後をたちません。契約や投資をめぐるトラブルや悪徳商法による被害も増しており、消費者センターなどによせられる消費者被害の相談は、この10年間で2倍以上に急増しています。

そのおおもとには、消費者保護の規制を骨抜きにした産業優先の規制緩和路線がありました。輸入食品をチェックする監視員から消費生活相談員まで、国でも、地方でも、規制緩和や行革路線によって、消費者の安全のための規制や監視、相談機能が弱体化させられてきました。今求められているのは、こうした消費者行政の規制緩和を根本的に見直して、消費者の権利や利益をまもる立場にたつことです。

その第一歩として、昨年9月、消費者被害にあわれた方々、消費者団体や専門家をはじめとした幅広いとりくみで、消費者庁と消費者委員会が設置されました。消費者庁が省庁のタテ割りをこえ、行政横断的な司令塔として消費者の権利をまもる先頭にたつことが必要です。また、消費者庁もふくむ関係省庁の消費者行政全般にたいし、独立した第三者機関としての監視機能をもつ消費者委員会が、その役割をはたすことが求められています。ところが、現政権は、「地方消費者行政活性化基金」(2009年補正)の凍結、製品や食品の安全テストを行なっている国民生活センターや製品評価技術基盤機構(NITE)などを「事業仕分け」の対象とし、国民生活センターの研修事業を「廃止を含めた見直し」とするなど、消費者行政の拡充の声に逆行する動きもみせています。

日本共産党は、大企業にたいしても堂々とモノをいい、消費者の安全・安心よりも、企業のもうけを優先する政治をきりかえ、安全・安心をはじめとした「消費者の権利」をまもります。

1、消費者庁設置法、消費者委員会設置法の付則および付帯決議をふまえ、本来の役割が発揮できるように拡充します

消費者庁設置法の付則には、国民生活センターをはじめ消費者行政の体制のさらなる整備、消費生活相談員の待遇改善をはじめとした地方の消費者行政の強化、適格消費者団体への支援の強化、悪質業者からの不当な収益のはく奪など、施行後3年以内にとるべき検討課題が列記されています。3年をまたず、これらを実現するように奮闘します。参議院の付帯決議であげられた34項目について、着実に実現するように力を尽くします。

消費者庁の抱える課題のなかでも、地方消費者行政の充実は最も重要なものです。「地方消費者行政活性化基金」の拡充とともに、非常勤の消費生活相談員の待遇改善にも使えるなど、基金の積極的活用を可能にします。

各省庁から独立して消費者行政全般について監視機能をもっている消費者委員会の事務局体制がきわめて不十分です。十分な人員を確保し、必要な財政上の措置を講じるべきです。

付帯決議には、「消費生活に関する情報は、国民共有の財産であるとの認識にもとづき……十分な開示を行う」としています。この立場から、重大製品事故報告制度の対象から除外されている食品、医薬品なども対象とし、すべての消費生活製品をフォローできるようにします。

2、食品安全行政の抜本的強化をはかります

輸入食品の検査体制について、人員の抜本的増員をはかるなど強化し、子ども・妊婦・病弱者への影響を最大限配慮した安全基準の設定、消費者へのすばやくてわかりやすい情報の提供など、食品衛生法を強化、改定するとともに、食品安全庁を設立し、食品安全行政を一本化します。

安全のための正確な情報を消費者が知るために、「消費者のための表示」との考え方になって食品表示制度を改革します。この立場から、食品表示については、複数の法律がかかわって錯綜している点を改めて、統一的な食品表示法を制定します。健康食品やサプリメントなどについて、虚偽・誇大表示などにたいして、効果的な規制をおこなえるように改善します。

牛肉輸入では牛海綿状脳症(BSE)対策として、全頭検査、危険部位である脊髄など神経組織の完全な除去、トレーサビリティが不可欠です。政府が求めた条件でさえ違反を繰り返す米国産牛肉は、輸入すべきではありません。

「食の安全」のために食料自給率向上のための取り組みに本腰を入れ、さしあたり50%台にのせます。日米FTA、日豪EPAには反対します。

3、消費者の生命・身体の安全を確保するための施策を強化します

欠陥製品による被害者の救済は不十分です。製造物責任法(PL法)を抜本的に改正し、企業責任を追及しやすくします。そのためにも、欠陥や因果関係の推定規定の導入、企業側による立証責任、リコール隠しをするような悪質企業には懲罰的賠償を命じるなどの改善をおこないます。

日常生活用品や遊具・建造物などの安全確保に努めます。日常の生活用品での死傷事故、エレベーター、エスカレーター、プール、ジェットコースターなどの設備による事故や建物の耐震強度の偽装、原発のトラブル隠しなどが相次いでいます。これまでは、車は国交省、家電製品は経産省、食品や薬は厚労省、食品表示は公取や農水省など、省庁バラバラに対応していました。消費者庁に事故情報を一元化し、「ヒヤリ」・「ハット」情報もふくめ収集、分析、公開をおこないます。事故分析体制の充実、行政と企業の責任による安全基準のいっそうの厳格化をはかります。

4、悪徳商法や悪質な取引から消費者をまもります

特定商取引法によるクーリングオフ期間のさらなる延長やネット上の広告の改善など、改正された特定商取引法をさらに消費者が使い勝手のよいものに改めます。

事業者の情報提供義務の明記、「適合性の原則」(消費者の知識・経験・財産の状況を事業者が配慮する)の導入、契約取り消し期間の延期、誤認して結んだ契約の取り消し範囲の拡大など、消費者契約法の改正を求めます。

改正貸金業法ではグレーゾーン金利は廃止されましたが、法定金利そのものが高すぎます。引き下げに全力をあげます。多重債務者にたいする相談体制の強化、生活福祉資金の改善などで生活の建て直しが図れるようにします。

クレジット会社による加盟店の厳密な審査、クレジット会社と加盟店との連帯責任の強化など、割賦販売法の運用をすすめます。

5、消費者、消費者団体への支援を一段とつよめます

消費者団体訴訟制度が施行されて3年が過ぎました。消費者団体が使いやすい制度に改善します。適格消費者団体に、行政が入手した情報の提供や財政的援助の強化、不当な事業者利得を吐き出させる制度の導入などをすすめます。

NPOの自主的な活動は、国民生活を豊かにする上でも、社会全体の発展のためにも重要な役割をもっています。NPOの自主性を尊重し、行政との対等の関係を保ちつつ、活動資金の助成や活動に必要な施設・設備の提供、寄付が受けやすくする制度への改善など、支援を強化します(分野別政策「NPO・NGO」をご参照ください)。

学校での体系的な消費者教育をすすめます。公的機関による消費者教育の充実はもちろん、社会教育活動として、地域の住民や団体を対象にした、自主的な消費者教育運動への支援を強化します。


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