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31.核兵器

核兵器廃絶、「非核の日本」実現のため力をつくします

地球上から核兵器をなくすための積極的役割をはたします

被爆国日本の国民の切実な願いであり、人類的課題である「核のない世界」――核兵器廃絶に向けて、歴史的な変化がおこりつつあります。

5月3日から国連本部で、核不拡散条約(NPT)再検討会議がひらかれました。NPT再検討会議は、5年ごとにおこなわれていますが、今回の会議は、「核兵器のない世界」への機運が世界的規模で広がるもとで、文字通り歴史的なチャンスの会議でした。日本共産党の志位委員長を団長とする訪米団は、このNPT再検討会議に出席するとともに、会議主催者、国連関係者、各国代表団に、被爆国・日本国民の悲願を訴えるとともに、「核兵器廃絶の目標そのものを主題として、この目標にいたるプロセスを検討する国際交渉を開始する」ことなどを要請するなど、会議成功のための働きかけをしました。

NPT再検討会議は5月末、全会一致で採択された最終文書で、「核兵器の完全廃絶に向けた具体的措置を含む核軍備撤廃」に関する「行動計画」に取り組むことで合意しました。「行動計画」は、2000年の再検討会議でおこなわれた核保有国による核兵器廃絶の「明確な約束」を再確認するとともに、「すべての国が、核兵器のない世界を達成し維持するために必要な枠組みを確立するための特別な取り組みをおこなう必要について確認する」と明記しています。とりわけ核兵器国にたいし、核兵器廃絶への「いっそうの取り組み」、「具体的な進展」を求めています。これらの確認は、重要な一歩前進です。

再検討会議の過程では、5月中旬に発表されたNPT再検討会議の第1委員会の報告草案として、「核兵器の完全廃絶のための行程表(ロードマップ)を検討する国際交渉の開始」という方向が打ち出されました。この内容は、一部の核兵器保有国の同意がえられず、最終文書には盛り込まれませんでしたが、こうした内容が交渉の過程で提起され、多くの国によって支持されたことは、世界の変化を反映した画期的な出来事です。このことは、最終文書での「核兵器のない世界の達成に関する諸政府や市民社会からの新しい提案およびイニシアチブに注目にする」「加盟国の大半は、こうした(核軍備削減・廃絶の)法的枠組みは具体的な日程を含むべきであると考える」などの言及にも反映されました。

これは、日本共産党の志位委員長らがニューヨークでNPT再検討会議議長に伝えた要請と合致するものであり、また、被爆国・日本の反核平和運動が求めていることです。NPT再検討会議のカバクチュラン議長から志位委員長宛てに「あなたの努力が、この会議のプロセスにきわめて大きな貢献となり、10年NPT再検討会議の大きな成功に役立ったことは確実です」という書簡も寄せられました。

 日本共産党は、日本の反核平和運動とともに、この方向が実るよう日本政府や世界各国にも働きかけるなど、可能なあらゆる取り組みをおこないます。

日本共産党は、戦後一貫して核兵器廃絶のためにたたかい続け、綱領にもその課題を明記した党として、この歴史的なたたかいの一翼をにない、広範な人々と共同して地球上から核兵器をなくすために積極的な役割を果たします。

核密約を廃棄し、名実ともに「非核の日本」を実現します

日本は、人類史上唯一、核戦争の惨禍を体験した国でありながら、歴代日本政府のもとで、アメリカの「核の傘」依存を正当化して、「核兵器をつくらず、持たず、持ち込ませず」の「非核3原則」をないがしろにする動きや核武装論がくりかえされてきました。

 鳩山政権は、3月、日米間の密約問題にかんする「有識者委員会報告書」を発表しました。日米密約問題の解明は、当時の鳩山民主党代表が昨年の総選挙中に国民に公約したことであり、日本共産党は、この問題に一貫して取り組んできた党として、昨年9月の党首会談で調査に協力することを表明し、資料の提供などをおこなってきました。

 しかし、「報告書」には、一連の密約のなかでも最大の焦点となっている「日米核密約」について重大な問題点があります。「日米核密約」とは、日本に寄港・飛来する米艦船・航空機の核兵器搭載について、安保条約第6条の「事前協議」の対象外として、この方式での核持ち込みを、条約上の権利としてアメリカ側に認めたものです。2000年の国会審議で、日本共産党の不破哲三委員長(当時)は、1960年の日米安保改定時に結ばれた「討論記録」という決定的な事実を示し、「日米核密約」の存在を明らかにしています。

 「報告書」の最大の問題点は、「討論記録」の存在を認めながら、「日米両国間には、搭載艦船の寄港が事前協議に対象か否かにつき明確な合意はない」などと、「討論記録」が核持ち込みの密約だったことを否定していることです。これはまったく成り立たない議論です。「討論記録」の存在を認めながら、核持ち込みの明確な合意は存在していなかったなどという議論は、悪質な歴史の偽造というほかありません。

 核持ち込みの密約問題は、けっして過去の問題ではありません。米政府は1994年にアメリカは水上艦艇から核兵器を撤去しましたが、攻撃型原潜に必要があれば随時、核巡航ミサイル「トマホーク」を積載する態勢を維持してきました。さらに、アメリカが「有事」と判断したさいには、核兵器を再配備することを宣言しています。オバマ政権は、4月に発表した「核態勢見直し」(NPR)で、「核巡航ミサイルを退役させる」としていますが、国防総省高官は、「退役の時期は、2,3年後」とのべています。しかも、今回のNPRは、F16戦闘機と後継機のF35 戦闘機に搭載するB61核爆弾について、「前方展開の非戦略核兵器搭載能力を維持する」ことを明確にしています。

したがって、日本への核持ち込みは、「今後は心配ない」(岡田外相)という保証はどこにもありません。「日米核密約」を廃棄しないかぎり、日本に核兵器が持ち込まれる仕組みと体制は引き続き日本列島を覆っているのです。にもかかわらず、民主党政権が、今後、日米核密約に関して「米側に何らの働きかけもしない」という立場を繰り返すことは絶対に許されません。

日本共産党は、政府が核密約の存在を正面から認めて、これを廃棄し、名実ともに「非核の日本」に進む実効ある措置をとることを強く求め、その実現のために全力をあげます。


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