狂牛病問題で日本共産党国会議員団が十七日、政府に万全の対策を申し入れた機会に、党国会議員団狂牛病問題対策委員長の中林よし子衆院議員に、この間のとりくみと政府の対応の問題点などを聞きました。
――狂牛病発生から一カ月あまりですが、国民になお強い衝撃を与えています。こういう事態がなぜ起きたのでしょう。
政府の初動に大きな問題がありました。世界保健機関(WHO)が一九九六年に、肉骨粉を牛に与えないよう勧告を出した際、きちんと規制すべきだったのです。ところが、政府は一片の通達を出しただけです。
私は各地の農家を調査しました。農家の皆さんから「行政指導は知らなかった」と聞きました。「配合飼料の中身も知らなかった」とも聞きました。農水省の調査では、肉骨粉を与えられた牛は九千頭にものぼっているのです。
狂牛病発生の責任はあげて政府にあります。
――十八日からはすべての牛を検査するようになりますが、消費者にはなお不安があります。
安全性に疑いのあるものを流通させない万全の対策をとることが、消費者の安心を得る前提です。
政府は、一次検査で「陽性」と出ても、確定診断が出るまで公表しないとする姿勢です。そうではなく、「陰性」の結果が出るまでと場に確実に留め置くとともに、一次検査の段階から状況を公表すべきです。消費者の信頼を得るには、情報公開が不可欠です。
検査体制も現状では不十分です。と場は全国に百八十カ所近くもあり、東京だけでも検査員が六人は必要といいます。ところが、狂牛病検査の研修を受けた検査員は二百五十人しかいません。全国二千三百人の検査員全員を、国が責任をもって研修させるべきです。
私たちはまた、牛の個体識別システムを早期に導入するよう求めています。一頭ごとの履歴と、エサは何をいつ、どれだけ、どんな方法でと、把握するためです。
――生産農家は深刻な打撃を受けています。
私だけでなく、日本共産党の国会議員は全国各地で農家の実情を調べています。牛が売れない、価格も三割〜五割も下がった、という状況です。
「せりが悪いと、借金を払えない」(兵庫)
「借金があるので、やめるにもやめられない」(島根)
「牛舎に(自殺の)ロープをかけることにならないか」(岩手)
こんな声があちこちから聞こえるのです。農家に責任はなく、やり場のない怒りです。
政府への申し入れでは、こうした農家をはじめ業者や消費者の声にもとづいて、きめ細かく対策を打ち出しました。
ところで、今回の事態は、飼料を輸入に依存しているところからきています。安ければいいというのでなく、飼料も国内でできるだけつくる必要があります。飼料を含めた食料の自給率を引き上げて、安全な食料を確保する必要を痛感しています。
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