消費者の知る権利、食品を選択する権利保障のために遺伝子組み換え食品に表示義務づけを

遺伝子組み換え食品表示要綱案(大要)

1997年10月24日 日本共産党

JAS法による遺伝子組み換え食品の表示を早急に義務づける
──遺伝子組み換え食品は 「原材料表示」に明記する

 アメリカ等輸出国での遺伝子組み換え作物の作付けが拡大し、わが国が大豆などを圧倒的に輸入に依存している状況から、消費者は「選択できるように一刻も早く表示を」と願っています。この声にすみやかにこたえるために、法改正をすることなく表示を義務づけることが可能な「農林物資の規格化および品質表示の適正化に関する法律(以下JAS法)」による表示を求めます。JAS法による表示は、施行令の改正、農水省告示のJAS規格、品質表示基準を改定すればよく、政府が決断すればすぐにでも表示を義務づけることができます。

 JAS法では、JAS規格、品質表示基準によって、食品ごとに表示内容が定められており、原材料名、内容量、賞味期限、製造者などが一括して表示されることになっています。遺伝子組み換え食品の表示は、「一括表示」のなかに以下の方法で原材料表示としておこないます。

表示方法

(1)遺伝子組み換え作物を使用する場合は、原材料名の表示に遺伝子組み換え作物であることを明記します。

(2)遺伝子組み換え作物の加工品を原材料の一部とする製品(大豆油、コーンスターチなどを使用した食品)については、原材料名の次に括弧を付して遺伝子組み換え食品を使用していることを明記します。

(3)表示内容の検証のために、「グリホサート耐性遺伝子をふくむ組み換え大豆」というように、どのような遺伝子が導入されたのかを具体的に記載します。

(4)現在遺伝子組み換え体として輸入が認められている大豆、トウモロコシ、ナタネなどについては、農産物検査法による成分検査の際に遺伝子組み換え体かどうかの検査をおこない、検査証明にその結果を記載します。大豆、トウモロコシ、ナタネを材料とする食品については、JAS法による原材料表示をおこなう際、農産物検査法による検査証明を必要とすることとします。

 遺伝子組み換え食品の表示を制度化するには、表示が正しいかどうかの検証ができることが必要になります。遺伝子組み換え食品は、加工されると組み換え体かどうかの検証が困難とされていますが、原材料として表示することで、製品の表示内容を確認することができます。

 また、大豆、トウモロコシ、ナタネについては、農産物検査法による検査をおこない、導入された遺伝子の名称を含め検査証明に遺伝子組み換え食品か否かを記載することで、食品製造業者が原材料を遺伝子組み換え作物かどうか判別することが可能となります。

表示制度の確立に不可欠な表示内容の検証は、国の責任でおこなう

 表示制度を確立するには、その内容が正しいかどうか検証する検査体制の確立が不可決です。JAS法にもとづく表示の適合性の検査については、農林水産消費技術センター(全国八カ所)が買い上げ検査をおこなっています。同センターに遺伝子組み換え食品にかんする検査機器、人員など検査体制を確立し、国の責任によって検証を実施します。

国民の願いにこたえる食品衛生法の抜本改正を

 JAS法による表示は、消費者が食品の品質を識別するためのもので、安全性とは切り離された表示です。遺伝子組み換え食品の安全性を前提とした表示制度確立が、ひきつづき求められます。遺伝子組み換え食品は、これまで人類が食した経験のないものであり、国民が厳格な安全審査を願うのは当然です。しかし、厚生省の「安全性評価指針」による遺伝子組み換え食品の安全性確認は、開発企業の自主性にまかされ法的強制力がないばかりか、食品添加物なみの発ガン性など各種毒性試験も義務づけていません。遺伝子組み換え食品の安全性確保を確実なものにするために、食品衛生法による食品添加物なみの安全性審査を義務づけ、安全性が確認されたものに表示をおこなうよう、食品衛生法の抜本的改正が必要です。


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