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ホームレス(野宿生活者)は、最近の厚生労働省調査でも2年前に比べて約18%増え、政令市や地方都市での増加が顕著になっています。厳冬期をむかえ、食事も十分でなく、野宿生活による体調の悪化、体力の低下などから、凍死者さえ生まれるなど、悲惨な状況のもとに置かれています。ボランティアやNPOなどの救援活動もおこなわれていますが、ホームレスのひろがりのなかで、事態はますます深刻になっており、放置できない現状にあります。
日本共産党は、今年1月「ホームレスの生命と健康を守り、生活保障と仕事の確保を求める緊急申し入れ」を行いましたが、事態は改善されているとは言い難いものです。今年8月、国連の「経済的、社会的及び文化的権利に関する委員会」がおこなった「勧告」でも、わが国のホームレス対策の遅れを指摘しています。
この厳冬期のなかで、ホームレスの、生命と健康を守り、最低限度の生活を保障するために、以下の施策を緊急におこなうよう求めるものです。
1、ホームレスに十分な医療を保障すること
ホームレスの健康管理や医療に公的医療機関が責任をもつことが重要です。とりわけ、ホームレスの結核罹患率が高く万全の対策が必要です。緊急一時宿泊施設や自立支援センターでの結核の感染も懸念されます。結核感染の早期発見、早期治療のための具体的施策を早急にとるよう要求します。とりわけ、結核治療は中断すると耐性菌が出現するため、治療がますます困難になります。また、一般の高齢者などへの感染の危険も高まります。DOTS(短期対面服薬療法)の事業が始められましたが、生活保護の併用など抜本的な拡充が必要です。
入院すると生活保護の医療扶助制度が適用されるものの、治療を受けて退院すると、生活保護が打ち切られ、再び野宿生活に舞い戻るということが依然として繰り返されています。退院するにあたっては、行政の責任で住居を確保し、働けるようになるまで必要なリハビリと、生活保護による所得保障を適切におこなうよう求めます。
2、生活保護行政の改善と国負担を拡大すること
「住所不定」「稼働能力がある」を理由にホームレスに対する生活保護の不適用をしないように、今年3月の「生活保護関係全国係長会議」での「通知」を地方自治体に対して、いっそう徹底することが必要です。
生活保護の適用拡大による自治体負担が増大しています。ホームレスに対する生活保護の適用による費用の4分の1は都道府県が負担し、居住地が確定した後はその自治体(市区町村)が負担することになります。ホームレスを多くかかえる自治体にとって、この財政負担が増大しています。ホームレスへの生活保護経費は、国の責任で全額を継続して負担するよう要求します。
3、ホームレスから緊急に離脱できる住居を国と自治体の責任で確保すること
ホームレスに対しては、一定のプライバシーが守れる住居を確保することが最優先の課題です。そのために、簡易宿泊所の空き部屋の借り上げや公営住宅の空き部屋の活用、さらに地域住民の理解と協力、ホームレスの同意をえて、シェルター(緊急一時宿泊施設)の建設を急ぐことです。来年度のシェルター事業は700人程度の増員しかなく不十分です。緊急に拡充することを求めます。
4、仕事と生活できる賃金の保障、安定した職業につくための援助を強化すること
東京都の「ホームレス白書」でもホームレスの8割は働く意欲がありながら、仕事に就くことができない労働者です。こうした労働者には、国と自治体の責任で、職業訓練と都市部での公的な就労事業を臨時的に起こし、生活できる賃金を保障することを求めます。また、「緊急地域雇用特別交付金」は現下の厳しい雇用・失業状況のなか野宿生活を余儀なくされている労働者の就労対策として活用されるには限界があります。交付金の増額を含め自治体の要望に即して、有効に活用できるよう適切な配慮を行うべきです。
「ホームレス自立支援事業」は、2002年度は14カ所、1350人程度、予算も12億円にすぎません。入所最長6カ月を限度とした「自立支援センター」では、自立の道にはなりえないことは明白です。来年度から予定の「ホームレス能力活用推進モデル事業」も実施カ所は2カ所にとどまっています。抜本的な拡充を求めます。
厚生労働大臣 坂口 力 殿
2001年12月12日
日本共産党国会議員団ホームレス問題プロジェクトチーム
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