「よせられた声」を深刻な思いで読ませていただきました。
まず、感想をひとこと。
声をよさせて下った方の年齢が20代後半から30代半ばの男性が多く、人生を生きぬくうえでも重要な時期を迎え、真剣に自分の仕事を考えていることが伝わってきました。それに対して「中途採用の面接を受けたものです。10月下旬に受けましたが、未だに返事ひとつありません。」という声にあるように、企業が採用をめぐる対応においても、採用後の職員への管理や教育・訓練でも、実に無責任なほんとうにいい加減なものであり、職場にいじめがあったり、管理職の腐敗や不正がまかり通るなど、真面目に働こうとしている労働者を人間として扱っていない実態に大きな憤りを感じました。正規の職員も長時間、過密な労働を強いられ、それゆえ長く努めることができず、身も心もぼろぼろにされていること。それゆえあえて正規採用を望まず、結局劣悪な労働条件でもやむを得ず、派遣、パート、アルバイトという不安定雇用で働く道を選んでしまっている若者が多いことを改めて知らされました。
さて今回の声のみなさんに一人ひとりアドバイスをおくることはできませんが、次の三つをご参考までに。
第一は「甘いといわれるかもしれないけれども、やっぱり『この仕事をやりたい』って思えることがあるなら選びたい、つかみたいと思ってしまう」という声を大切にしたいと思います。本当に「やりたいこと」があるならその夢をすてないでもち続けて欲しいと思います。
第二に、いま日本の働く若者がかつてないほど深刻な雇用不安のなかにあり、使用されてもあまりにも劣悪な条件で働かされている現状を打開する運動が、いま職場を基礎に広がる条件があり、労働組合運動を活性化することが緊急の課題です。そこで声をよせて下さったみなさんのところで、仲間と語り合い「なんとしても人間らしく働こう」と声をかけ合い、会社に立ち向かう運動を、全労連などの労働組合の専門家と相談しながらはじめましょう。
第三に、これだけの真剣な声をよせてくださるみなさんですからきっと、問題意識も学習意欲もあることでしょう。私は、労働者教育協会の仕事をしていますが、そこで「学習の友」という学習のための月刊誌を発行していますが、本を読み、学習を力に、この日本を変える壮大な展望をもちながら、いまの深刻な事態とじっくりと向かい合い、粘り強く解決していきましょう。つまり生き方をも含めて考えることを期待します。
■プロフィール
なかた・すすむ
1937年、京都に生まれる。関西勤労者教育協会講師。京都府立大学卒業後、大阪の中学校教諭を経て、勤労者教育に専念。労働学校、労働組合、民主団体、青年女性団体、公民館、高等学校、各種団体で講演、 政治経済情勢、哲学、「暮らしと経済」「二一世紀どう生きる」「学ぶこと、生きること」「働くこと、生きること」「自分らしく輝いて」「学ぶことは生きる道しるべ」 などをテーマに、分かりやすく語りかける。
主な著書「働くこと生きること」(学習の友社)。「自分らしさの発見」(新日本出版)。 「人間らしく自分らしく」(学習の友社)
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