「若者に仕事を」のアンケートコーナーに寄せられた沢山のメールを読ませていただいています。私は東京選挙区で衆議院に当選させていただき、この四年半ほど活動してきました。担当している分野が厚生労働委員会と憲法調査会ということもあり、青年雇用を含め労働問題を一生懸命国会で追及してきました。
今回、昨年12月に寄せられたメールの声と意見を丹念に読みました。アルバイトやパートの労働者だけでなく、正社員や公務員ふくめて20歳から30歳代までの青年のみなさんの切実な声が寄せられていました。何十社も面接を受けても採用されない、不採用の通知さえされない。理由も告げられないまま退職させられるパートや派遣社員。とても独立して生活はできない低賃金、そして長時間労働とつきもののサービス(ただ働き)残業。職場でのイヤガラセ・セクハラ、果ては暴力までも……。これまでも、直接、青年のかたがたにあってその実態を聞いてきましたが、メールを読むごとにますますそのおかれている状況に怒りを覚えずにはいられませんでした。アンケートに寄せられたこの青年のメールこそ、現在日本の「青年労働者黒書」だと思います。
私は、二年前、あの「世界のトヨタ」で、年間3650時間も働かされているという事実を予算委員会で小泉首相に突きつけ、サービス残業の根絶と労働時間の短縮を約束させました。しかし、このような実態は「氷山の一角」でしかありません。『日本の企業社会は、労働基準法などに照らせば、「犯罪の巣」だ』といったある大学教授の言葉を忘れることができません。
「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない」―ーこれは、労働基準法の第一条です。労働基準法は、憲法27条や28条にもとづいて、賃金や労働時間、また、労働者と使用者が対等の立場で労働条件を決定しなければならないことなどを定めたものです。たとえば、理由なく一方的に解雇することは労基法違反であり、憲法違反です。私は、就業人口の87%を占める日本の労働者の雇用の安定と労働条件の向上こそが、わが国社会の健全な発展の鍵だと考えていますし、このことを私のライフワークに位置づけています。今回寄せられたメールを読んで、多くの青年のみなさんがその原因をはっきりとつかんでおられることに感激しています。自分個人のことだけではない、将来の日本をどうしていくのかという正当な怒りに共感します。いまの状況を変えるために、ともに行動しようではありませんか。心からのメッセージを送ります。
■プロフィール
やまぐち・とみお
1954年1月29日静岡県三島市生まれ。同志社大学卒業後、日本共産党専従に。社会科学研究所事務局長、文化・知識人委員会責任者、知識人局長として、幅広く活動。
2000年より衆議院議員(2期)。比例代表・東京ブロック選出。衆議院・厚生労働委員会委員、憲法調査会委員。党国会議員団・厚生労働部会長。憲法調査会部会長。国会では、発達障害の支援を考える議員連盟副会長、ハンセン問題の最終解決を進める国会議員懇談会副会長。地域経済・くらし・福祉の問題から、平和・外交・憲法まで、「国民が主人公」の政治の実現のため奮闘。アメリカ、メキシコ、ロシア、オランダなどでの憲法事情の調査に参加。
家族は、妻と二人の娘。フォークギターと古書探索が趣味。
主な著書に、『21世紀と日本国憲法』(光陽出版社)、『新しい世紀に日本共産党を語る』(新日本出版社)など。
[閉じる]