[閉じる]

林萬太郎さん(日本高等学校教職員組合中央執行副委員長)

知恵と力を付けて、いっしょに進みましょう

 16通のメールを読ませてもらいました。「職場の人間関係に悩んでいる」「就職できない」の多くの声から、「生きていくのも嫌になってくる」「自殺も考えている」という悩みまで、今の若者のおかれている厳しい状況がこのホームページにそのまま現れていると感じました。10番の声に「同世代の何パーセントの人がまともに仕事が出来ているのでしょうか」とありましたが、政府統計によっても若者の1割が失業、2割がフリーター、半数近くが非正規不安定雇用です。さらに正規雇用でも長時間労働や休日出勤を押しつけられているわけで、今の日本のほとんどの若者が「使い捨て」状態にあるといえ、早急に改善させる必要があります。
 高校の非常勤講師をしている人からの声がありました。「授業時間1時間につき2800円だが授業以外の雑務の時間の給料が出ない」とのことでしたが、最近は拘束時間でカウントする方法が増えています。公立か私立か、どの県かで違いますが、教職員組合の講師部や臨時教職員部に聞けば状況は分かる筈です。直接、日高教に問い合わせていただいても結構です。
 今回は人間関係の悩みがたくさんありました。「働く」ということが他人との接触なしには成り立たない以上、人間関係は避けてとれないわけで、昔からある悩みですが、就職難や労働強化の中でいっそう深刻になっているようです。「自分はここで働き続けるんだ」「自分はこの仕事で一人前になるんだ」という気持ちを持って、負けずに少しずつ頑張ってほしいと思います。職場の内外で、グチを言いあえる友人や何でも相談できる信頼できる人を捜すことも有効だと思います。
 こんなに厳しい中でも、多くの若者があるべき姿や日本の将来を考えています。「少子化も将来への不安が大きな要因だ。奨学金の充実など教育費負担を軽減しなければ」(14番)の指摘はまったくその通りです。日高教も奨学金制度改善や授業料値下げ・授業料減免制度拡充を文部科学省などに要求しています。「能力・やる気がないのではありません。時間とお金の余裕がなく自由がなくロボット化されているのです。環境さえあれば僕らは想像以上の結果を出せます」(6番)「自分は正社員だが、一緒に働いている派遣の人を犠牲にしているように感じる。このままでは日本の製造業の品質が落ちていくように思う。派遣法の廃止やアルバイト率の制限をすべきだ」(16番)の声には、若者のまっすぐな目と意識、日本社会の将来への展望を感じることが出来ました。「仕事を通して希望の持てる仕組み」を一緒に考え、作り上げていきたいと思います。

プロフィール

はやし・まんたろう

日本高等学校教職員組合(日高教)中央執行副委員長。
「高校・大学生、青年の雇用と働くルールを求める連絡会」(略称:就職連絡会)事務局長

1948年大阪生まれ。
1973年立命館大学理工学部卒業、1978年立命館大学文学部卒業。
1967年大阪府に実習助手採用、1973年教諭採用。
1967年より大阪府立高等学校教職員組合の実習助手部・青年部・支部・本部役員を歴任。
2001年度より日高教中央執行委員、2003年度より現職。

「新規学卒者への就職保障の運動と課題」(雑誌「月刊全労連」)、「インターンシップ問題を考える」(雑誌「技術教育研究」)、「今日における高校生の就職保障問題」(雑誌「人権と部落問題」)など、論文多数。

[閉じる]