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大木寿さん(全労連・全国一般労働組合 中央執行委員長)

「安心できる失業保障と雇用を増やすこと、生活できる賃金や労働条件」を企業、政府、自治体に求めて写真

 私は皆さんのメッセージを不安定雇用の子を持つ親として、労働組合の仕事を職業にしているものとして、重く受け止めています。29歳の男性がふれているNHKスペシャル「フリータ−漂流」(2月5日放映)を私も見ました。まともな職がないために、請負労働で働く若者が「使い捨て部品」として扱われていること、若者とその親の苦悩を辛い気持ちで見入りました。
 いま、正規雇用は少なく不安定雇用ばかりです。不安定雇用や小零細企業に働く人は、解雇の不安があり、賃金は低く、自前で生活すること、結婚や子育てをすること、技術や知識を高めることが困難です。このことは、皆さんの深刻な問題だけでなく、重大な社会問題ですし、国の将来を危うくしています。
 一人ひとりが大切な人生です。皆さんは家族だけでなく、日本の社会にとっても大切な人です。皆さんの失業と不安定雇用の状態を変えていくためには、職場で「雇用を守り、賃金・労働条件を改善すること」と、「安心できる失業保障とまともな雇用を増やすこと、まともに生活ができる賃金や労働条件にすること」を企業、政府、自治体に求めていくことが必要です。一人の力では実現が極めて難しいですが、みんなで力を合わせれば実現は可能です。
 いま、24歳以下の若者は5人に一人が失業者(就職断念者含む)で、2人に1人がパート、アルバイト、契約、派遣、請負という不安定雇用で働いています。皆さんと同じような意見と気持ちを持っている人が多数います。一人ひとりがあきらめず努力することが大切ですが、限界があります。皆さんが多くの人たちと力を合わせて、現状を変える運動に参加することが皆さんの現状を改善し、打開していく道だと思います。
 いま、全国各地でパート・アルバイトなどの不安定雇用や中小企業で働く若者が組合に入り、みんなと力を合わせて、経営者と交渉し、雇用を守り、賃金などの待遇改善やサービス残業を是正させています。さらに、大企業や政府・自治体に対する運動も進めています。「労働組合に入って良かった。労働組合はすごい」と、みんな生きいきと働き、生活しています。皆さんもぜひ組合に入り、運動に参加し、現状を変えていく主人公になって下さい。ぜひ、全労連の労働相談ホットライン(0120-378-060)に電話してみてください。


プロフィール

おおき・ひさし

(家族)妻:保育士、子ども:2男2女
(趣味)山登り、スキー、旅行
(略歴)
1943年 東京生まれ。5人兄弟の末っ子
1971年 電子部品メーカーSMKの神奈川工場で組合結成。委員長に選ばれる。
会社は組合つぶしのために、私を配転命令拒否を理由に解雇。組合員の脱退や6年半のたたかいで勝利し、私は労働組合の仕事(専従)につく。
1987年全国一般労働組合神奈川地方本部の副委員長に選出される。労働相談・組合づくり、解雇や倒産、経営危機などの対策とたたかいに明け暮れる。
1989 年 全労連・全国一般労働組合が結成され、中央本部書記長に選ばれる。
2002年 中央本部委員長、全国労働組合総連合(全労連)副議長に選ばれる。

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