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小池晃さん(日本共産党 常任幹部会委員、政策委員長、参議院幹事長)

フランスの派遣労働者は、正社員よりも10%賃金を上乗せすることで均等待遇を確保

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 みなさんの悩みに共通している「正社員になれない」という問題は、若者だけでなく、日本社会の大問題です。

 若者の中にパート・アルバイトや派遣、契約など非正規雇用が広がり、フリーターは400万人を超え、就職をあきらめたり様々な事情で仕事をすることができない「ニート」と呼ばれる若者を含めると約500万人。女性の非正社員比率はすでに過半数を超えていますが、男性でも24才以下では、90年代前半までは2割台だった非正社員比率が一気に急増し5割に近づいています。

 労働法制の改悪を続けて、長時間労働と不安定雇用を野放しにした政府と、それを後押しして、企業の収益を上げるために若者をモノ扱いしてきた企業の責任は重大です。

 こうしたやり方はヨーロッパから見ても異常です。OECD(経済協力開発機構)の「雇用アウトルック」では、「日本の特徴は正社員と非正社員の間に大きな格差が存在することにある。有期雇用や派遣労働への規制が過去20年間にわたり徐々にゆるめられてきた。その結果、日本はこうした形態の就業への規制がOECDの平均をかなり下回っている」と指摘されています。

 たとえば派遣労働者の待遇でも、フランスやドイツでは、正社員と同一にするという原則が確立しています。フランスでは雇用が不安定だからという理由で、正社員よりも10%賃金を上乗せすることで均等待遇を確保しているそうです。ドイツでも派遣労働者と正規労働者の時間あたり賃金を同一にしており、そうすれば派遣会社への手数料を含めれば、正社員より派遣社員を雇った方が企業にとって割高になるため、安定雇用の拡大につながっているそうです。ヨーロッパにできることが日本にできないはずがありません。

 それどころか、日本では「偽装請負」と呼ばれる違法行為までおこなわれています。3月31日に東京地裁で、業務請負会社の社員としてニコンの熊谷工場で働いていた23才の上段勇士(うえんだん・ゆうじ)さんが過労自殺した事件で、請負会社だけでなく、派遣先のニコンにも損害賠償を命じる判決が出ました。この事件については、私も2年前の国会で取り上げ、厚労省もその時に「労働者派遣法違反だ」と偽装請負であることを認めたものです。

 司法の場でも、こうした異常な働かせ方に断罪が下されました。今、無法状態で踏みにじられている当たり前の要求、権利をひとつひとつ実現するたたかいが全国で始まっています。日本共産党はそうしたみなさんを全力で応援する政党です。どんなささいなことでもいいから、お近くの共産党員や民青同盟員に相談してください。そして一緒に、ヨーロッパでは当たり前になっている、正社員も非正社員も、誰もが労働者としての権利が守られる世の中をつくっていきましょう。

プロフィール

こいけ・あきら

日本共産党 常任幹部会委員、政策委員長、参議院幹事長
参議院 厚生労働委員会委員 。1960年、東京生まれ。東北大学卒業。医学生自治会連絡会議(医学連連)委員長として、医学連再建に奮闘。全日本学生自治会総連合(全学連)副委員長、 国際部長。卒業後、東京・小豆沢病院、代々木病院などに勤務。民医連理事など経て、98年から参議院議員。
[写真]厚生労働委員会で質問する小池晃参院議員(2004年11月9日)

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