「就職活動で悔しい思いをした」、「派遣労働者として働いているが、いつリストラされるのか」、「育児中だけれど、夫の働かされ方にも問題を感じ、相談する人もなく怒りとむなしさでいっぱい」など、皆さんからの生の声を読みながら、先日、不安定雇用の実態を取材したテレビの番組で、ある女性のケースが紹介されていたことを思い出しました。将来通訳か旅行会社で働くことを夢みて、外国語大学でドイツ語を学び、卒業後、語学力を強めようとドイツ留学し、勉強して日本へ帰ったけれど、自分の特技を生かす道は厳しく、なかなか見つからず。アルバイトで翻訳の仕事がきても、あまり収入にはならず、家で夕食を食べるときは5玉99円のうどん、服は買わず、ある服を重ね着して、暖房も極力節約。しかし、「人としての尊厳は失いたくない」と同じような悩みを持つ青年たちが集まる個人加盟の首都圏青年ユニオンに入って、なんとか自分の取得した資格を生かして働けるようにがんばる姿でした。
自分のやりたいことがはっきりしていて、そのために必要な努力をやり資格を取ってもそれが実らない――ここには、本人の努力だけではどうにもならない今日の社会と政治の構造的な問題があることが浮かび上がる内容でした。テレビでももっとこうした現実の姿をきちんと取材して放送するようにすべきだと思いました。この間の国会での日本共産党の衆参での質問の効果もあると確信しています。日本の最低賃金制の異常な低さ、派遣労働の実態不当な働かせ方をしている事実を暴露し、政府としても実態を調査し、是正をするように求めてきました。これからも繰り返しやっていかなければなりません。
ところで最近注目するのが、フランスの青年たちのデモの広がりです。「若者を使い捨ての労働者にするな」とプラカードを掲げた学生や労働組合の集会、デモは200カ所にも及び200万人もの行動になり大きく広がっています。今月1月ドビルパン首相が打ち出した「新採用計画」がその問題の焦点。青年の失業が4人に1人という深刻さに対して、「若者の雇用を促す効果がある」として26歳未満の青年を新規採用した場合、その会社の社会保障負担分を免除する政策を取りながら、同時に通常は1−3ヶ月だった「試用期間」を2年に延ばし、この期間中は理由を示さなくても雇用主の都合で解雇できるというもの。内容も大変問題ですが、それを冬休み中に急いで審議を打ち切ってスピード採決させたやり方にも反発が集中しています。反対運動は国民の支持を得て大きく広がり、勢いはますます高まり、政府を追い詰め、とうとう撤回させたのです。
日本でも国民を巻き込んだ運動にどう発展させることができるか――やはり、できるところから、気がついた人から行動し、1人から2人へ、2人から3人、4人へと広げていくことが大事なのだと思います。みなさんの近くの日本共産党の事務所や党の市町村議会議員などにぜひ気軽に労働相談をしてください。
■プロフィール
かみ・ともこ
1955年札幌市生まれ。恵庭南高校、北海道女子短期大学工芸美術科卒業。日本民主青年同盟北海道委員、同中央委員会副委員長。日本共産党中央委員会青年学生部、道常任委員などを歴任。2001年7月参議院議員選挙、比例代表で当選。現在、日本共産党中央委員、参院農林水産委員、予算委員、沖縄北方特別委員会。家族は夫。趣味はスキー、山歩き、絵画、料理。
[閉じる]