去年十二月のアドバイスで「声をあげれば変えられる」と書きました。声もあげず黙っていては、事態はただ悪くなるばかり。希望どころか絶望が深まるだけです。希望は、たたかいが変化をつくりだしたときにわいてくるものです。
変化はうまれはじめています。
日本共産党国会議員団は、派遣や請負労働などの非正規雇用の問題を、精力的に国会質問で取り上げてきました。とくにこの間、違法行為が横行している現場の実態を告発し、政府に早急に対処させることを重視してきました。地域の労働監督署も昨年来、事業所への指導、監督を強めています。
今年の国会でも、日本共産党の追及にたいし、川崎二郎厚生労働大臣は「きちっとした指導をしていきたい」と指導を約束(二月七日、衆院予算委員会での佐々木憲昭議員への答弁)。ピンはね、違法行為を平気で繰り返している請負企業の最大手クリスタル・グループについても「当該事業所および必要に応じ本社に厳正な指導」をすると答えました(三月二四日、参院予算委員会での私への答弁)。また、二階俊博経済産業大臣は「長年働き、技能をもった人が、将来に希望の持てる道を開くためにどうすればよいか。(非正規雇用について)経営者と相談していきたい」と述べました(三月二二日、衆院経済産業委員会での塩川鉄也衆院議員への答弁)。
国会だけでなく、地域からのたたかいも広がっています。偽装請負を告発したった一人で松下を相手に提訴に立ち上がった大阪の吉岡力さんや、トヨタの孫会社・徳島県光洋シーリングテクノで直接雇用を求めてたたかう労働者たち、それを支える地域労組―全国各地の運動が違法企業を追い詰めつつあります。
そういうなか、日本トップの大企業の人材部門担当者が、私に会いたいと大阪から上京してこられました。大企業の方が共産党議員を直接訪問するのは異例のことで、勇気のいることだったと思います。「違法派遣で青年労働者を食いものするような請負会社とは縁を切りたい」―去年から日本共産党の質問を見てそう思ったそうです。今後は自社グループ内に技能社員の会社をつくり、正社員で雇用して技能訓練もしていきたいとのこと、そのための協力を依頼されました。今まで請負労働を受け入れてきた大企業の責任は?―と反発もおぼえましたが、青年たちを違法状態で働かせ、さんざんピンはねしたうえで使い捨てにする今の状況よりはずっと改善されていくのではないかと思いました。
圧倒的多数の与党をもつ小泉内閣と巨大な力をもつ大企業は大きな壁のように見えますが、みんなの奮闘がその壁を動かし始めていると感じています。
■プロフィール
だいもん・みきし
参議院議員。予算委員、財政金融委員、政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会委員、国際問題に関する調査会委員
日本共産党参議院国会対策委員会副委員長、党議員団・建設国保対策委員会事務局長など。
1956年生まれ。神戸大学中退後、生協勤務など経て東京土建書記長に。建設労働者の権利と中小業者の営業、地域のまちづくりを発展させる運動の先頭で奮闘。
写真 議員会館を訪ねてきた青年と就職やフリーターの厳しい実態を語り合う大門議員(右奥)(04年2月16日)
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