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原 和良さん(弁護士)

写真 就職先が見つからない,正社員になれない,リストラが不安だ,女性差別がある,など多くの悩みや相談が寄せられています。どれも,深刻で大変な状況であることが伝わってきました。しかし同時に,現状を変えるのに特効薬はありません。おそらく,先輩たちも,方法はそれぞれ違うにしても,職場に不満を持ちながら,少しずつ少しずつ改善していく努力をしていったのだと思います。職場の現状を変えるというのは,自分を取り巻く客観的環境を変えることですが,その変えていこうという努力は必ず自分が変わらなければできないものです。あいつは文句をいうけど自分はいわれたことを全然できないじゃないか,と会社に言われてしまっては,周囲の仲間の共感も得られませんよね。また,労働組合の活動などで職場でがんばっているところは,仕事もりっぱにやるし,他方で不合理な労働条件に対してははっきりと物を言う,という仕事も活動もメリハリをつけてがんばっているところが多いのではないでしょうか。

 ルールなき資本主義といわれる日本の企業体質には,確かに,正論が煙たがられる,物を言えば居心地が悪くなるという性向があるのも確かです。しかし,決してそのような企業は,一時的には利益をあげることはできても,長期的に見れば社会的にも評価されなくなります。本来,従業員が,やりがいを感じて生き生きと働ける職場環境をつくることは,企業にとって決して不利益なことではありません。

 最近,パートの従業員であった女性が一部上場企業ブックオフの社長に就任したというニュースが話題になっています。彼女は,17年前に,家計を助けるためにパートに応募した女性だそうです。単に,パートだってチャンスがあるという気休めのための話ではありません。会社の労働条件を変えていくには,忍耐と努力が必要であり,また,自分自身が言った分だけの責任を果たそうという自分を変えるという努力とが伴わないといけないということなのです。

 そして,どう努力しても環境が変わらない場合には,新しい職場を考えることも必要だと思います。


プロフィール

はら・かずよし

弁護士、東京法律事務所所属
(略歴)1963年12月 佐賀県有田町生まれ
    1989年3月  早稲田大学法学部卒業
    1992年    司法試験合格
    1995年    東京弁護士会登録〜現在にいたる
(主な事件)
 労働事件(労働側)、公害事件、マンション紛争、痴漢えん罪その他刑事事件、交通事故(民事、刑事)、不動産、家事(離婚・相続)、債務整理・破産事件その他民事一般

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