35人の方の声を読ませてもらいました。いつもより数が多く、また30才代の人も多く、多くの若者が生活や人生についての深刻な不安をかかえて生きていることを思うと、胸が痛みます。
何回応募しても「正社員採用は即戦力になる経験者のみ」という壁にはばまれて、非正規雇用から脱出できないという声がたくさんありました。この問題では19番の人が言う通りです。就職連絡会などが進める「大企業は若者の雇用を拡大し教育訓練していく社会的責任を果たせ」という運動を大きくしていきましょう。また、面接時の違反質問、求人票と違う労働条件、サービス残業の強制など、企業のルール違反や横暴を訴える声もたくさん寄せられています。明らかに違法・違反行為であり、買い手市場につけこんだ許せない行動です。たたかうには少し勇気がいりますが、民青同盟や労働組合に相談して立ち上がり、勝利した例もたくさんあります。我慢できないときは、辞めることで自分を守るか、それともたたかうか、信頼できる人や組合などに相談してみましょう。
ここ2年、求人が増えていることについてもいくつかの声が寄せられています。「一部の大企業だけで中小企業には及んでいない」「資格や経験が条件になっている求人が多い」という問題点はその通りです。また、「2007年問題」(2007〜2009年度末に団塊の世代が大量に退職すること)が求人増の主な要因ということですから、この求人増がいつまで続くかも不安です。
多くの若者が、「自立できないほどの低賃金」で「倒れそうになるほどの長時間労働」を押しつけられ、厳しい現状と希望のない未来のために自殺まで考えるような社会は異常です。31番の「このままだと日本の将来は暗い」という指摘の通りです。なぜ、こんな日本になってしまったのか。5番の声にあるように、小泉首相は「なぜ失業率が高いのか。若者にやる気がないのか、能力がないのか、両方あるかもしれないが」などと答弁していますが、これは無責任なだけでなく犯罪的な答弁です。自公政権が、若者の未来と日本社会の将来よりも企業の当面の利益を優先する財界の労働力戦略に追随して、次々と労働法制を改悪したきたことが直接的原因なのですから。今日の事態は、日本政府の政策の結果なのです。しかし、逆に言えば、政治を変え、政策を変えれば事態を大きく改善することができるということです。さしもの「小泉マジック」もそろそろ種切れ、今年9月の自民党総裁選から来年のいっせい地方選・参院選にかけては、情勢が大きく動く可能性があります。
毎日の仕事と生活がたいへんで、先のことなど考えられないという状況の人も多いでしょうが、声を挙げていきましょう。「未来をになう若者」といいますが、黙っていては暗い未来を押しつけられるだけです。信頼できる人や場所を探して相談する、働くものの権利などを学習する、職場で声を出す、労働組合に参加する、選挙の時は投票に行くなど、思いを具体的な行動にすることが、明るい未来を作る作業になるのです。若者のことを心配し、応援したいと思っている大人たちもあちこちにいます。思い切って、一歩踏み出してみませんか。■プロフィール
はやし・まんたろう
日本高等学校教職員組合(日高教)中央執行副委員長。
「高校・大学生、青年の雇用と働くルールを求める連絡会」(略称:就職連絡会)事務局長
1948年大阪生まれ。
1973年立命館大学理工学部卒業、1978年立命館大学文学部卒業。
1967年大阪府に実習助手採用、1973年教諭採用。
1967年より大阪府立高等学校教職員組合の実習助手部・青年部・支部・本部役員を歴任。
2001年度より日本高等学校教職員組合(日高教)中央執行委員、2003年度から2004年度まで中央執行副委員長。
2005年度より現職。
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「新規学卒者への就職保障の運動と課題」(雑誌「月刊全労連」)、「インターンシップ問題を考える」(雑誌「技術教育研究」)、「今日における高校生の就職保障問題」(雑誌「人権と部落問題」)など、論文多数。
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