「採用時の年令や職歴による差別的対応」や「サービス残業」は明確に禁止されていますが、買い手市場につけ込む企業や管理職の違法行為があとをたちません。これには、「辞めるつもりもなくたたかう気持ちでいっぱい」(10番の声)のように強い気持ちを持つことが必要です。あわせて、労働基準法などの労働者保護法制を知ることが「泣き寝入り」(8番の例)しないために必要です。また、「気軽に利用できる相談所や組合のような組織」(15番の声)も、全労連の「労働相談ホットライン:0120-378-060」など増えてきています。自分を守るためには、知恵をつけ、声を挙げ、仲間をつくることです。この点では、最近、行動する若者が増えてきているように思います。
10月1日に大阪で「若者に仕事を!人間らしく働きたい!大阪青年大集会」が開かれ、私も参加しました。大阪で初めての大集会でどれだけ集まるか心配しましたが、雨の中、250人の若者で会場はいっぱいでした。私が一番感動したのは、請負で働いていた59人が直接雇用を勝ち取った光洋シーリングテクノの矢部浩史さんの「自分たちの社会です。勇気を出して運動を盛り上げていけば絶対世の中は変わります。がんばろう」というあいさつと、松下プラズマに解雇撤回を求めて裁判中の吉岡力さんの「自分の賃金や生活のこともあるが、大企業の無法なやり方が許せない」という決意でした。ここにこそ、時代を変え、切り開いていく若者の力があると強く感じました。
いま情勢は動きつつあります。今年の1月に「政治の潮目が変わりつつある」という報道がありましたが、夏以降、小泉構造改革路線・規制緩和万能論に修正ドライブがかかってきているように思います。雇用問題でも、キャノンやトヨタの下請けである光洋シーリングテクノで請負からの直接雇用が実現し、9月末には大阪労働局が業務請負最大手のクリスタルグループの「コラボレート」社に業務停止処分をしました。10月13日には、国会で日本共産党の市田忠義書記局長が、「ワーキングプア」と呼ばれる劣悪な労働条件で働く人々が激増している背景に偽装請負問題があると指摘し、安倍首相に「厳格に対応」と答弁させました。これ以降、マスコミで偽装請負の告発が続いています。
来年のいっせい地方選挙・参議院選挙へ向けて。まだまだ情勢は動くと思われます。青年の雇用と働くルールの現状を改善する大きなチャンスです。当事者である若者が声を挙げ、運動を広げていきましょう。
■プロフィール
はやし・まんたろう
大阪府立高等学校教職員組合副委員長。
「高校・大学生、青年の雇用と働くルールを求める連絡会」(略称:就職連絡会)前事務局長
1948年大阪生まれ。
1973年立命館大学理工学部卒業、1978年立命館大学文学部卒業。
1967年大阪府に実習助手採用、1973年教諭採用。
1967年より大阪府立高等学校教職員組合の実習助手部・青年部・支部・本部役員を歴任。
2001年度より日本高等学校教職員組合(日高教)中央執行委員、2003年度から2004年度まで中央執行副委員長。
2005年度より現職。
「新規学卒者への就職保障の運動と課題」(雑誌「月刊全労連」)、「インターンシップ問題を考える」(雑誌「技術教育研究」)、「今日における高校生の就職保障問題」(雑誌「人権と部落問題」)など、論文多数。
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