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林萬太郎さん(大阪府立高等学校教職員組合副委員長)

5月20日、東京・明治公園の若者の集会へ――勇気を出して声をあげよう

  34人の方の声を読ませてもらいました。多くの若者が毎日、正規雇用でも非正規雇用でも厳しい労働条件の中で、一生懸命に働き生きている姿が目に浮かぶようです。本来は未来への希望と活力に満ちあふれるべき世代が、仕事や生活や将来についての深刻な不安をかかえながら必死に生きている姿を見ると、財界と安倍政権が自分たちの利益のために若者たちだけでなく日本の将来をも食いつぶしていることに大きな憤りを感じます。

 「時間内では絶対に終わらない作業をさせられ」るのに「時間オーバー分は能力不足とされ、残業代はいっさい支給されない」例や、同じパート作業員でも「正規雇用の人は休憩時間も確保され、残業もほとんどない」のに非正規は「休憩時間はなく、残業を頻繁に強いられる」例など、今回は若者たちの働かされかたのひどい実態を告発する声が多く寄せられています。さらには、「月々の生活費だけの賃金しかなく、休みも少ない。いっそ死んでしまえばどんなに楽だろうと考えることもある」「自殺未遂まで追い込まれた」等々の声も複数寄せられており、ぎりぎりのところまで追い込まれている若者が少なくないことを示しています。また、今回は35歳以上の若者への対策を求める声がたくさん寄せられています。「国は10代や20代には雇用対策をとっているが、30代や40代には対策はない。これは不公平」「景気が少し良くなっても、恩恵を受けられるのは新卒オンリー。経験を積めなかった人間は門前払い」「非正規雇用に押し込められてスキルを得るチャンスを奪われた氷河期世代が、自己責任の問題として片づけられるのは理不尽」などの実態が広がっている今、国は「35歳以上の非正規雇用の支援、無収入や低賃金でも全員加入できる年金、保険制度」めざして実効ある施策を進めるべきです。

 今回は、自治体による雇用対策の実態を批判する声も寄せられています。「地方自治体が補助金=税金で誘致したコールセンターに就職できたが、アルバイト待遇で、指定されるシフト時間が短く低収入。ノルマを課され、トイレ休憩も制限され、機械の奴隷だった」「町の臨時職員として働いているが、月に15日勤務で年収100万円以下。有給はなく、変則の出勤時間が常態化している」など、雇用対策といっても低賃金や無権利が横行している実態が告発されています。これらは自治体が実施しているだけに問題はいっそう深刻です。自治体の雇用対策は進出企業などに遠慮せず、雇われた若者に自立できるだけの賃金を保障して、地域で生活=消費し、結婚・子育てと地域に定着できるようにすることで、地域経済と地域の将来を発展させてこそ税金をつぎ込む価値があるのです。

 さて、このような若者の雇用と労働のひどい状況を作り出している原因と背景に迫る声も多く寄せられています。「派遣社員制度ができてから、溶接の技術を持っていても安い時給で働いている」このような若者も増えています。財界と政府は派遣の範囲をどんどん広げてきましたが、「派遣会社の社長は人の金を吸い取って金持ちになり、勝ち組気取り。私には、とてもまともなお金の稼ぎ方とは思えない」という感覚が正常ではないでしょうか。「観光バスの運転手だが、年間3400時間の労働時間。規制緩和をやめなければ、我々の労働条件は良くならない」の声は、政府がすすめた規制緩和の犯罪性をずばり指摘しています。

 次は、気づいた若者が声を挙げ行動することですが、最近はあちこちで行動する若者が増えてきているように思います。政治情勢も動きつつあります。サービス残業の摘発・是正がすすみ、偽装請負の告発・是正も相次いでいます。声を挙げ行動するには、少しの勇気と知恵と仲間が必要です。身近に信頼できる仲間や先輩はいませんか。相談できそうなところはありませんか。探してみる値打ちはあると思います。

 今年の5月20日には、ここ数年開催されてきた雇用問題での「青年大集会」が東京で開かれます。この大集会に向けて、全国各地で小集会や学習会が開かれています。7月の参議院選挙で若者の雇用と労働の実態を真剣に考え改善する姿勢を持った国会議員を増やすことを展望しつつ、当事者である若者が声を挙げ、運動を広げていきましょう。


プロフィール

はやし・まんたろう

大阪府立高等学校教職員組合副委員長。
「高校・大学生、青年の雇用と働くルールを求める連絡会」(略称:就職連絡会)前事務局長

1948年大阪生まれ。
1973年立命館大学理工学部卒業、1978年立命館大学文学部卒業。
1967年大阪府に実習助手採用、1973年教諭採用。
1967年より大阪府立高等学校教職員組合の実習助手部・青年部・支部・本部役員を歴任。
2001年度より日本高等学校教職員組合(日高教)中央執行委員、2003年度から2004年度まで中央執行副委員長。
2005年度より現職。

「新規学卒者への就職保障の運動と課題」(雑誌「月刊全労連」)、「インターンシップ問題を考える」(雑誌「技術教育研究」)、「今日における高校生の就職保障問題」(雑誌「人権と部落問題」)など、論文多数。

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