さて、「学費を払うことが出来ず」大学を中退しようとしている大学生からの声が寄せられています。今の時期、大学や専門学校にいけるかどうか経済的な条件で進路に悩んでいる高校生や卒業生の人も多いと思います。そんな人は奨学金制度を活用しましょう。日本の奨学金制度は給付制を中心とする世界の標準からたいへん遅れていますが、とはいえ、今までの諸先輩の努力でいろいろな奨学金制度ができています。中でも日本学生支援機構は貸与制ですが、募集人員も多く、基準もゆるやかで、年度途中の緊急採用制度もあります。「奨学金ガイドhttp://www.jasso.go.jp/shougakukin/documents/guide2007.pdf」を見るか、TEL:0570−03−7240に電話してみてください。また、多くの都道府県や市町村も奨学金制度を持っています。その地域に保護者が住んでいることが条件ですが、成績などの基準はゆるやかなことが多いようです。さらに、民間の企業や個人が設置している育英団体も数多くあります。応募基準・支給内容・採用人数などは制度ごとにさまざまです。このほかに、学校独自の奨学金制度がほとんどの私立大学と多くの専門学校に設けられています。これら各種奨学金制度の募集窓口には学校がなっていることが多いので、まず自分の学校(志望校)に確認しましょう。
奨学金制度以外にも、入学時や家計急変時などに入学金や授業料あるいは一時的な生活資金を貸し付けてくれる貸与制度もあります。これらは基準がゆるやかなことも多いので、利用できる可能性も高いと思います。
また、一般のローンに比べて金利が低い教育ローンや進学ローンもあります。国民生活金融公庫(0570−008656。http://www.kokukin.go.jp/kyouiku/index.html)や雇用促進事業団(http://www.ehdo.go.jp/gyomu/index4.html)などの公的ローンと、労働金庫(0120-86-6956。http://chuo.rokin.com/kariru/kyoik_loan.html)や農協、銀行などの組合・民間ローンの2種類がありますが、在学中は金利だけを支払い卒業後に自力で元金の返済を始められるものもあります。
本来、学生は学問を追究し、見聞を広げ、将来の日本のためにそれぞれの専門の力を身につけるのが仕事です。学問や自分の進路で悩むことはあっても、「学生が学費で悩み苦しまなければならない」ような今の日本は異常です。経済的な事情というものは自分ではどうしようもないところもありますが、今ここでくじけることなく、情報・知恵を身につけて、なんとか道を切り開いていきましょう。そのことが、日本をまともな国にしていく一歩一歩になるのですから。
■プロフィール
はやし・まんたろう
大阪府立高等学校教職員組合副委員長。
「高校・大学生、青年の雇用と働くルールを求める連絡会」(略称:就職連絡会)前事務局長
1948年大阪生まれ。
1973年立命館大学理工学部卒業、1978年立命館大学文学部卒業。
1967年大阪府に実習助手採用、1973年教諭採用。
1967年より大阪府立高等学校教職員組合の実習助手部・青年部・支部・本部役員を歴任。
2001年度より日本高等学校教職員組合(日高教)中央執行委員、2003年度から2004年度まで中央執行副委員長。
2005年度より現職。
「新規学卒者への就職保障の運動と課題」(雑誌「月刊全労連」)、「インターンシップ問題を考える」(雑誌「技術教育研究」)、「今日における高校生の就職保障問題」(雑誌「人権と部落問題」)など、論文多数。
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