いまなおサービス残業が横行しています(「声」6,9)。労働基準法では、法定労働時間(1日8時間、週40時間)を越える労働をさせた場合には、割増賃金(所定賃金の1.25倍以上)を支払わなければならないと定められています。これは個々の合意や組合の協定によっても下回ることができない最低基準であり、これに反した使用者には罰則もあります。
工場内のアスベスト粉塵についても(「声」8)、労働者の健康・安全に悪影響があることが明らかであるにもかかわらず何の対策も取られていないとすれば、労働安全衛生法及び労働安全衛生規則に違反する恐れがあります(罰則あり)。
こうした明らかな違法に対しては、労働基準監督署に申告することで、労基署から使用者に対し是正するよう指導がなされます。使用者はコストのかかることはなるべくしたくない立場にいますから、彼らが自主的に法を守るのを待っていても無駄です。泣き寝入りせず、労基署に申告しましょう。
一方、派遣・アルバイトといった非正規雇用で働く人々の地位は、法律上の保護も不十分です(「声」2,4)。しかし、パートと正社員の賃金格差を無効とした裁判例もありますし(丸子警報器事件)、有期雇用でも雇い止めには合理的理由が必要と解されています。非正規雇用だから「何でもあり」というわけではありません。
規制緩和の流れの中で、労働者の地位や生活、安全を守るべき法律が骨抜きにされ、抜け穴だらけにされて、その成果として非正規雇用は着実に増えています(「声」3,7)。法律自体が変えられてしまえば、労基署を通じた保護も望めません。こんな時代こそ、労働者が団結して、使用者と対等に交渉する力を持つことが大切だと思います。同時に、これ以上の法律改悪が進まないよう、世論を作っていく必要があると思います。
■プロフィール
はやし・まゆみ
1975年岐阜県生まれ
2003年弁護士登録
岐阜合同法律事務所勤務
中国残留孤児国賠請求(東海訴訟)、じん肺根絶訴訟、県内の解雇事件等の弁護団に参加。
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