青年たちは、毎日きびしい現実と向き合っています。思うようにならないのは、会社や世の中のせいなのか、それとも自分のせいなのかと悩みつづけています。
政府は、青年が就職できないのもフリーターや「ニート」が増えているのも、いまの青年たちが「怠けている」「自立心が欠けている」「人間力がたりない」からだといいます。
本当でしょうか。若い頃が未熟であるのは、いまに始まったことではありません。
私は「わるいのは若者じゃない、政府の方だ」とハッキリいうことにしています。いま青年の雇用環境をきびしくしているのは、政府の責任です。政府がわざわざ企業のリストラを応援し、正社員を減らして派遣労働や契約社員、パートなどの非正社員を増やす「労働市場の構造改革」(竹中大臣言)をすすめているからです。このことが、やる気のある青年でも正社員になれない、働く機会があたえられない、いつまでもフリーター状態から抜けだせないという深刻な事態をもたらしています。このことを棚上げにして、責任を青年になすりつけるなど、姑息なやり方です。そんな小泉総理や大臣たちこそ、人に説教できるほど立派な人間なのでしょうか。
すべては自分がわるい、自分のせいだと思い始めたら、人間はダメになってしまいます。だんだん自分を嫌いになり、やがて自身の存在まで否定することになります。もしもそんな気分になったら、「おかしいのは政治や社会のほうだ」「自分のせいじゃない」と、いったん開きなおってほしいと思います。人間、開きなおると強くなります。そうすれば、しだいに事実が見えてきます。自分がぶつかっている本当の相手は何なのか、立ち向かう相手は誰なのか、見えてくると思います。
職場にはいやな上司や先輩も、愚かな社長だっているでしょう。「当面の敵」に見えるかもしれません。しかし彼らも同じ人間。何かにとりつかれ、追い立てられているだけかもしれません。
本当のたたかう相手が見えれば、たとえ苦しい毎日でも、頑張り続けることができます。たたかう相手がはっきりすれば、味方や仲間も見えてきます。仲間が多いのに気づいたら、勇気がわいてきます。仲間でたたかえばいつか光が見えてくるものです。
■プロフィール
だいもん・みきし
参議院議員。予算委員、財政金融委員、政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会委員、国際問題に関する調査会委員
日本共産党参議院国会対策委員会副委員長、党議員団・建設国保対策委員会事務局長など。
1956年生まれ。神戸大学中退後、生協勤務など経て東京土建書記長に。建設労働者の権利と中小業者の営業、地域のまちづくりを発展させる運動の先頭で奮闘。
写真「予算委員会で小泉内閣の経済・雇用失政を追及」(04年3月16日)
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