2002年5月21日(火)「しんぶん赤旗」
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日本共産党の木島日出夫議員は二十日の衆院有事法制特別委員会で、「武力攻撃事態法案」にもとづく米軍への物品、施設、役務の提供問題について追及しました。福田康夫官房長官は「武力攻撃発生以前の段階で、米軍が必要な準備行動をとる場合には(提供)できる」と答弁。武力攻撃発生前の「おそれのある場合」や「予測される事態」でもこれらの米軍支援を国をあげてできるとの考えを示しました。
法案は、自治体や指定公共機関の戦争協力を「責務」とし、義務付けています(第五、六条)。同時に、第二条では、自衛隊だけでなく、国の機関、自治体、指定公共機関が、米軍に対し「物品、施設又は役務の提供」を行うと定めています。
これでは、日本が武力攻撃を受けていないのに、自治体や指定公共機関が、米軍への物品、施設、役務の提供のために強制動員されることになり、木島氏は「重大な答弁だ」と批判しました。
また木島議員は、米軍に提供する物品に「武器・弾薬も含むのか」と追及。中谷元・防衛庁長官は「周辺事態法」や「テロ対策特別措置法」で米軍への武器・弾薬の提供が除外されていることについて「憲法上できないからではない」と答弁し、「相手側のニーズもあるので検討していく」と述べました。
政府は「周辺事態法」の審議の際、武器・弾薬の提供について「米軍からの要望がないから」とし、「憲法との関係は、慎重に判断する必要がある」と述べて、憲法上の問題について明確な答弁を避けてきました。
「憲法上できないからではない」との中谷長官の答弁は、従来の政府答弁から踏み込んで、憲法上問題がないとの考えを示すもの。木島議員は「米軍からニーズがあれば、物品も施設も役務もなんでも提供できるという恐ろしい答弁だ。こんなに憲法九条をないがしろにした答弁はない」と批判しました。