2002年6月17日(月)「しんぶん赤旗」
国会会期末まで三日と迫った十六日、東京・渋谷区の代々木公園で「STOP!有事法制6・16全国大集会」が開かれ、梅雨空を吹き飛ばすような六万人が「有事法制を廃案にしよう」の声をとどろかせました。(2、3、15面に関連記事)
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「共同するってすごい力だね。勇気百倍だ」(東京・中井悟さん、五十六歳)、「野党もまとまっているし、この共同の輪を広げれば廃案に追い込める気がしてきた」(さいたま市、鈴木勇美さん、四十五歳)と確信に満ちた表情。「百十五人まとまって飛行機できました」(札幌・清水亘さん、二十七歳)という北海道の一団やマイカーで松江市からかけつけたグループ、貸し切りバスで参加した人たちなど、大型ビジョンが設置された第二会場もふくめびっしりです。
集会は陸・海・空・港湾関係労組と宗教者ネット、キリスト者平和ネットがよびかけたもの。多くの団体、個人が分野ごとにアピールを出し参加をよびかけました。
「ゼッタイ・ハイアン各界アピール」で、国会内外、草の根の代表が前回の「5・24集会」後に飛躍的に広がった共同のたたかいを報告、廃案への決意をのべると「よーし」「がんばるぞ」の声と拍手が起こります。
政党からは日本共産党の志位和夫委員長、社民党の土井たか子党首、民主党の生方幸夫衆院議員が訴え。志位氏は、国会内外のたたかいが有事三法案を大きく追いつめてきたが、政府・与党は国会会期の延長を強行し、成立をあきらめていないことを指摘。「強行も継続も許さず、きっぱり廃案に追い込み、憲法破りの勢力に痛打を与えるところまで、さらに共同のたたかいを広げよう」と呼びかけました。
脚本家の小山内美江子さんは、先の大戦に触れ「十八歳で死んでいった人の四倍、私は生きている。だからきょうここにきました。きょうは父の日です。若者に自分たちの問題だよと話してください。徴兵制反対、有事法制反対です」。日本弁護士連合会の伊礼勇吉副会長は「日弁連はめったなことで一つの法律に態度を表明しないが、今回の有事法制は許されないとなった」とのべると会場は大きくわきました。
小林洋二全労連議長、片岡和夫全日本海員組合副組合長、沖縄の市民団体の本永春樹さん、東京・高校生平和ゼミナールの白木まほさんが次つぎ壇上に立ちます。「国民が殺されるための準備をして、日本を守るなんていうのはおかしい。私たちは『高校生戦争協力拒否宣言』をします」(白木さん)との訴えに、目頭を押さえる人もいました。
十六日に開催された「STOP!有事法制全国大集会」(東京・代々木公園)であいさつした社民党の土井たか子党首は、「有事法制は真っ向から憲法に違反している」とのべ、「アメリカの起こす戦争に、米軍にいつも隷従していくなかで日本の国民が犠牲になる。このことを許すのか、断固許さない立場で拒否するのか、二つに一つ」と強調。「会期延長に猛反対して、この法案の廃案、そして息の根を止めるまでがんばり合いたい」とよびかけました。
続いてあいさつにたった民主党の生方幸夫衆院議員は、同党の“良識派”を代表してきたとのべ、「ありもしない有事を立法化する意図は、米軍の行動に自治体、国民まで巻き込んでいくことにある」と指摘。「いつの間にやら有事法制を通したことが、数年後には有事体制の国にもっていかれてしまう。この危険性をつよく訴えていかなければならない。廃案に追い込むまでたたかいぬこう」とのべました。
6・16全国大集会の各界アピールで、全労連の小林洋二議長は、有事法案成立の見通しが立たないところまで労働者・国民の運動と世論の力で追い込んできたと強調。野党の追及で、唯一の被爆国が核戦争を含むアメリカの戦争に参戦するという法案の本質がはっきりしたとのべ、「断じて許すことはできない」と批判しました。
「労働者は戦争に協力しない。労働組合の共同は大きく広がっている。法案阻止へ労働者もがんばります」と廃案への強い決意を表明しました。