日本共産党

2002年10月13日(日)「しんぶん赤旗」

北京の五日間(27)

中央委員会議長 不破哲三

28日 李鉄映さんとの三時間(二)


二十一世紀論について語る

 私は、李鉄映(りてつえい)さんの問題提起に答える形で、いくつかの理論問題について話した。

 二十一世紀を迎えて、資本主義が体制的にも深刻な矛盾にぶつかっていること、私はその矛盾の代表的な現れとして、これまで、(一)周期的な恐慌・不況から抜け出せないでいる問題、(二)アジア・中東・アフリカ・ラテンアメリカの広大な国ぐにが、資本主義の枠内では、自分たちの発展の将来がないことを強く感じつつあること、(三)人類の生存の保障である地球の「生命維持装置」が利潤第一の経済活動によって破壊されようとしていること、の三点を話してきたが、最近、もう一つの重大な矛盾として付け加えようかと思っているということについても語った。それは、「市場万能主義」を売り物にするアメリカが世界資本主義の盟主になって、資本主義の害悪と醜さが一気に噴きだしつつあることである。

「資本主義市場経済」を経験してきた立場から

 二十一世紀の体制変革の過程を進める世界的な三つの流れを論じるなかで、「社会主義をめざす国ぐに」の取り組みにも、話はおよんだ。

 「私は、二十一世紀の世界的な前途を展望するなかで、中国の『社会主義市場経済』の取り組みに以前から注目してきました。しかし、この問題で、苦労し、経験を積み、そのなかで問題点をつかみ、解決に力を集中するのは、あなたがたです。私たちに、この問題でなにか発言する立場があるとすれば、私たちが『資本主義市場経済』のなかで暮らし、その善しあし――市場経済にどんな特徴があり、あるいは否定面があるのかをよく知っていることです。その立場から、いくつかの意見は言えるかもしれません」。

生産力の発展の「させ方」での優位性が大事になるのでは……

 こう前置きして、私は、市場経済は必ず富めるものと貧しいものとの格差を大きくし、利潤第一主義で労働者の健康や安全も、雇用も保障しない「あとは野となれ山となれ」式の本性をもっていること、そういう傾向に反対する労働者と国民のたたかいを背景に、資本主義の枠内でも、社会保障や災害防止のしくみなど、一定の「歯止め」のしくみがつくられてきたこと、などについて話した。

 その立場から、「社会主義市場経済」が、「資本主義市場経済」にたいして、優位性を発揮するとすれば、生産力そのものの量的な発展の面での優位性を追求すると同時に、生産力を発展させるいわば「発展のさせ方」という面で、社会主義らしい力が発揮されるようになることが、歴史の方向ではないか、具体的にいえば、格差の拡大をおさえ、社会的な保障を充実させ、労働者の健康と安全をまもるなどの面の位置づけが、いよいよ大きくなってくるだろうということを、一つの理論問題として提起した。

 話がそのあたりに来たところで、李鉄映さんから、「現代と社会が直面する重大問題について話していただきました。あとは、食事をしながら続けませんか」と声がかかった。「私の胃袋も、その提案に賛成しています」と答える。今度は「宴会」方式への移行である。

(つづく)

 


もどる

機能しない場合は、ブラウザの「戻る」ボタンを利用してください。


著作権 : 日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp