2008年6月2日(月)「しんぶん赤旗」

米産牛肉 輸入再開に怒り

韓国 ソウルで10万人集会


 韓国で米国産牛肉の輸入再開の撤回を求める抗議行動が全国に広がっています。ソウルでは五月三十一日から一日未明にかけ、市民団体がつくる「狂牛病対策会議」が呼びかけた集会に主催者発表で約十万人(警察発表四万人)が参加。抗議行動の背景には労働・教育政策などへの不満もあり、集会・デモでは政府への厳しい批判の声が上がっています。


 三十一日は釜山、光州、大田など多くの地方都市でも抗議行動が起きました。ソウルのデモは青瓦台(大統領官邸)に向かいましたが、警察が阻止。二百二十人が連行され、百人以上が負傷する事態となりました。

 政府は農水相や大統領側近の更迭と狂牛病予防対策の強化などで事態の収拾を図る方針です。しかし、これまで李明博(イ・ミョンバク)政権に好意的だったメディアも政府批判に加勢。日刊紙・中央日報は「失政に国民が失望していたところへ、牛肉輸入問題が火をつけた」と指摘、「国民とたたかって勝てる政府はない」と輸入再開の見直しを求めました。

 集会には多くの中高生や家族連れも参加。スローガンも多様化しています。「学校給食の安全を守れ」「輸入再開を撤回せよ」というものから、「学費値上げを撤回せよ」「学力競争を強制するな」「安定した職場を保障せよ」など、さまざまな要求をぶつけました。

 李政権が推進している教育政策で、禁止されていた早朝・夜間課外授業や業者テストが復活し、生徒の負担が増え、競争はいままで以上に過熱しています。「公営企業改革」に関して労組は、民営化と人員削減が強行されると反発を強めています。

 京郷新聞は「牛肉輸入再開への抵抗は、庶民感覚のない富裕層を重用した人事、見通しのない経済成長公約、一方的な教育政策など、積み重なった国民の不満の表れ」と指摘し、政府の政策転換が必要だと強調しました。

 政府は予定通り三日に米国産牛肉輸入を正式に告示する構えです。十日ごろから小売店に牛肉が出回るとみられます。

 一方、「狂牛病対策会議」は、一九八七年に軍事独裁政権を倒した「六月民主化抗争」の記念日である十日に、再び大規模集会を全国的に開く予定です。



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