2008年6月4日(水)「しんぶん赤旗」
飢餓8億5千万人
価格高騰の打開策協議
ローマ 食料サミット始まる
【ローマ=山田芳進】国連食糧農業機関(FAO)が主催する「食料安全保障サミット」が三日、ローマで開幕しました。福田康夫首相ら世界の六十数カ国の国家政府首脳を含む百五十カ国以上の代表や国際機関が参加しています。
開会式で潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は、国連の「食料危機ハイレベル作業部会」がまとめた「行動計画」を提示。八億五千万人が食料不足に陥っている現実は、過去の政策を見直す機会を提供しているとし、二〇三〇年までに食料の50%増産を目指す政策の必要性を訴え、食料危機解決の「大胆で緊急な取り組み」を呼びかけました。
またFAOのディウフ事務局長は、先進国による農業援助が一九八四年からの十年間で58%落ち込んだ事実を指摘し、「適切な援助がなされていれば、世界の食料安全保障は確保されていた」と強調。食料問題を最優先課題とする各国の政治的決断を求めました。
開会式に続いて各国首脳が発言。福田首相やサルコジ仏大統領は食料支援額の増加を表明しました。またバイオ燃料生産国として批判されているブラジルのルラ大統領は、同国が進めているのはサトウキビからの生産であると強調、食料不足をもたらす危険性があるトウモロコシなど食用、飼料用作物からの生産に否定的な考えを示しました。
サミットは五日までの三日間の予定で、食料価格高騰が引き起こした世界的な危機の打開策について協議が行われます。
世界の非政府組織(NGO)の代表は二日、サミット開催を前に食料価格高騰への緊急対策を求めました。
アクションエイド(本部、南アフリカ)のクロピウニカ氏は「食料危機は大規模な人権侵害となっている」と警告。「農業投資への怠慢、小規模農家支援中止という失政のツケを貧しい人々が払うというのは一種の暴力だ」と批判しました。赤十字国際委員会は、飢餓が続けば紛争地域での戦闘を激化させると指摘しました。
「貧困地帯に学校給食を」
世界70カ国で行進
食料サミットを前にした一日、国連世界食糧計画(WFP)が主催した「飢餓をなくそう・世界行進2008」が世界七十カ国、二百五十以上の地域で行われ、二十五万人以上の人々が参加しました。この取り組みでWFPが発展途上国の貧困地帯で進めている学校給食のための資金五十万ドル(約五千七百五十万円)が集まりました。
行進はアフリカの内陸国マラウイ、スワジランド、タンザニア、中米のグアテマラ、ホンジュラスのほか、ヨルダン、インドネシアで行われました。欧州でも二十五カ国七十都市で取り組みが行われました。
WFPによると世界で約六千万人の子どもが空腹のまま学校に通っています。WFPはアフガニスタンからソマリアまで約二千万人の子どもに学校給食を提供しています。
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