2008年9月24日(水)「しんぶん赤旗」
汚染米の給食混入拡大
父母・農民ら 不安、怒り
輸入固執の自民農政に責任
カビや農薬に汚染された輸入米の不正転用事件は、どこまで広がるのか―。島田化学工業(新潟県長岡市)が汚染米から製造した「米でんぷん」が全国各地の学校給食に使われていることが判明。母親や農家などが不安や怒りの声をあげています。
「子どもを持つ親として不安でしょうがない」と話すのは、中二と小五、小二の三人の子どもをもつ女性(40)=兵庫県明石市=です。
「つくっている人も食べている人もわからなかったというのだから、消費者としては防ぎようがない」
小四と小五の子どもがいる杉本和さん(45)=新日本婦人の会大阪府本部事務局長=は「今回の事件が、どこまで広がるのかと不安です。給食は一食一食が教育の一環として大事。産直や国産の食材を使って、安全で安心なものにしてほしいと運動してきたのに…」と話します。
「大阪府は、中学校給食を民営化しようとし、大阪市は一部の小学校で給食を民間委託にしています。大量生産が前提の民間委託では、加工食品や冷凍食品が使われることも多く、今回のような事件がおきかねない。年間七十七万トンものコメを強引に輸入して、こんな事件を招いた自民農政に怒りを覚えます」
「丹精込めて国民の食料を生産・供給している農民の立場からは許せない」と話すのは、四ヘクタールの水田でササニシキを作る、宮城農民連事務局長の鈴木弥弘さん(56)。
「安全性が特別に求められる学校給食は、安全な日本のコメが使われるべきです。農民には減反を強制しながら、給食には汚染された輸入米が使われていたわけで、流通管理責任を果たすべき政府に強い憤りを感じます」
国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会(全国食健連)の事務局長、坂口正明さん(57)は「汚染米が入ったのは、加工食品を学校給食に持ち込んだからです。地元産の農産物で食材をつくる地産地消や産直などの『自校方式』でやっておれば、こんな事件は防げた。そういう意味では教育行政の責任も大きい」といいます。
「今回の事件は、企業の社会的責任はもちろん、それを結果として見逃した農水省の責任も重大です。事件の背景には、不要なミニマムアクセス米をノルマとして輸入し続け、コメの国内流通を原則自由化してしまった政府の食料政策があります。この事件から学んで、コメ輸入を中止するなど、食料政策の抜本的改革が急務です」
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