2008年9月25日(木)「しんぶん赤旗」
国連総会 一般討論を開始
投機規制の必要強調
「カジノ経済」批判 各国から相次ぐ
【ニューヨーク=鎌塚由美】二十三日に始まった国連総会一般討論演説では米国発の金融危機をもたらした「カジノ経済」への批判と、政府による規制の必要性を強調する声が相次ぎました。
「金融投機家が世界経済を脅かしている」と述べたブラジルのルラ大統領は、現在の深刻な問題は「その場しのぎで解決できず、予防と規制のメカニズムによって国際金融に完全な透明性をもたらさなくてはならない」と主張。今日の国際金融機構には「投機の無政府状態を阻止する権威がない」と述べ、「完全に新たな基盤を持つ機構に再構築しなければならない」と語りました。
アルゼンチンのフェルナンデス大統領は、米国発の金融危機は「カジノ経済」がもたらした結果だと指摘し、新自由主義の経済モデルを見直す「歴史的好機だ」と語りました。また「ワシントン・コンセンサス」として中南米諸国に押し付けられた「市場がすべてを解決する。国家の介入は不必要」という政策の失敗は自明だと指摘しました。
サルコジ仏大統領は、現在の金融危機の原因究明のためにも、関係諸国の首脳による「教訓を検証する」会合を年内に開催することが必要だと提案。「規制された資本主義」への「再構築」が求められるとし、銀行の仕事は「投機をあおるのではなく、経済発展に資金を提供すること」であり、「規制された信用機関」が求められると語りました。
一方、ブッシュ米大統領は、金融機関への七千億ドルといわれる公的資金投入策が「われわれの金融市場の不安定化の根本原因への対策」だと表明しましたが、現在の危機をもたらした原因には一切触れませんでした。
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