2008年10月6日(月)「しんぶん赤旗」
米型「金融」を批判
欧州労連、“転換”求め声明
欧州最大の労働組合連合組織である欧州労連(ETUC)はこのほど、米国発の世界金融危機について声明を発表しました。米国が長年にわたって民営化や規制緩和、規制のない市場をもてはやし、世界全体が見習うべきモデルとしてきた結果だと厳しく批判しています。
声明は、少数者の利益のために多数者が搾取されてきた米国型金融資本主義が、「今、そのやりすぎから自らを崩壊のふちに追いやり、実体経済を脅かしている」と指摘。その責任はニューヨーク・ウォール街、ロンドンその他の主要金融センターの強欲と無謀にあるとしています。
投機家によって燃料、食料、原材料の価格高騰が増幅したことや、「良質な公共サービスを将来にわたってまかなう能力が危機にさらされている」ことにも言及し、「だからこそ、今を転換点としなければならない」と強調しています。
声明は「銀行や投機集団などの無責任によって国家を破たんのふちに追いやるようなことは二度とあってはならない」として、金融機関への公的資金投入の際には公的影響力の行使や公的規制を伴い、金融機関の行動に根本的変化をもたらすようにすることを要求しました。
さらに、グローバルな金融資本主義に見合った欧州レベル、国際的レベルでの効果的な規制を求めています。
各国政府に対しては、労働者とその家族に不利益となる賃金調整や社会的保護の削減を行わないよう要求。所得・賃金の格差に政策上の関心を払うよう訴えました。
欧州労連(ETUC) 欧州労働者の利益促進と欧州各機関での発言権確保に向け、1973年に創立。現在、欧州36カ国の82の労組全国組織と12の欧州レベルの産業別連合が加盟。組合員は合計6000万人。欧州連合(EU)内で政労使の協議や交渉に際し、労組を代表する組織として認められています。
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