2008年10月19日(日)「しんぶん赤旗」
リーマンのファルド氏
7年で487億円
米金融重役の高額報酬
安定化法に明確な制限なし
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【ワシントン=西村央】米国の金融機関救済策の実施条件の一つ、最高経営責任者(CEO)の高額報酬制限が、実質的には機能しないと米国の民間研究機関が指摘しています。
金融機関のCEOの高額報酬は六日、下院の監視・政府改革委員会の公聴会で取り上げられ、経営破たんした大手証券リーマン・ブラザーズのファルドCEOが就任後七年間で四億八千万ドル(約四百八十七億円)、年平均で約七千万ドルもの巨額だったことが明らかにされました。
七千億ドルの公的資金投入にあたっては、資金を受ける金融機関のCEO報酬に上限を設けるよう議会審議で指摘されました。その結果、成立した金融安定化法には「財務省はCEOへの成功報酬が金融機関の価値を脅かすほど不必要で過度なリスクとならないよう保証する」との文言が盛り込まれました。
しかし、十四日に二千五百億ドルの資本注入が発表されたモルガン・スタンレーやシティグループなどの金融機関の場合、「成功報酬」の制限の有効性に疑問がもたれています。高額退職金の禁止は明記されているものの、報酬については「リスク」の規定がなく、誰が「過度」と判断するかがあいまいなままだからです。
また不良債権が買い上げられる金融機関のCEOについては、報酬制限がありません。
ワシントンのシンクタンク「政策研究所」は十五日、金融救済の対象となった会社の役員報酬の分析結果を発表しました。
その中で財務省が「過度なリスク」を決定しない限り、CEOへの報酬支払いは妨げられないと指摘。明確な制限がないため、「国民はかつてウォール街のCEOとして数億ドルの報酬を得ていたポールソン財務長官に、何が『過度』なのかの判断を託すことになる」と皮肉を込めています。
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