2008年11月14日(金)「しんぶん赤旗」
事故小麦
7年で18件 報告4件だけ
食品衛生法違反 常態化か
紙議員が追及
農水省が商社に委託しておこなっている小麦の輸入で、「事故小麦」が二〇〇二年度から〇八年度まで十八件発生しながら、商社から厚生労働省への報告は四件しか出ていないことが十三日の参院農林水産委員会で明らかになりました。日本共産党の紙智子議員が追及したもの。
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食品衛生法では、事故小麦が食品衛生法違反の恐れのある場合、厚生労働省に報告する義務があります。紙議員は農水省の輸入小麦の事故処理報告書をもとに、「厚生労働省に報告せず事故小麦を処理することは、食品衛生法違反であり、それが常態化している」と指摘。厚生労働省の中尾審議官は、「事故小麦の届け出をしなければ報告義務違反になるとして、現在検疫所を通じて調査をすすめている」と答弁し、「調査にもとづいて適切な措置をとっていきたい」と約束しました。
アメリカ、カナダ、オーストラリアなどから輸入される小麦は、一九八六年の「規制緩和」で導入された「計画輸入制度」の対象品目で、厚生労働省に初回だけ輸入届を出せば、一年間輸入届を出さずに繰り返し輸入できます。
紙議員は、農水省の輸入麦事故処理報告書に〇二年度から「事故小麦」が十八件も発生し、異臭(ペンキ、油漏れ)、熱損、水ぬれ(輸送船ハッチから海水浸水など)と報告されていることを紹介。「油漏れで異臭がして焼却処分したとか、オイル漏れで廃棄したとか、明らかに食品衛生法違反のものがある」と、農水省把握の事故小麦の調査を迫りました。
厚生労働省は農水省の事故品については、報告がでてきていないことを認めました。また、石破農水相に輸入麦事故処理報告制度の改善を求めました。
事故米 「書き間違い」通用しませんヨ
石破農水相 答弁できず
「事故品」(事故米)を「極力主食用に」という農水省総合食料局長通知「物品(事業用)の事故処理要領」(二〇〇七年三月)をめぐって、日本共産党の紙智子参院議員が十三日の農林水産委員会で「通知を出した責任をどう思うか」と、石破茂農水相と岡島正明官房長(当時の総合食料局長)にただしました。
石破農水相、岡島官房長は「事故米穀を主食用として」売却することを書いた二カ所の「事故米穀」は「事故品」と書き間違えた事務手続きミスと釈明。町田勝弘総合食料局長は、一九六五年に食糧庁長官がだした同要領は、「事故米穀と事故品は同じ意味でつかっていた。(二〇〇七年にそれぞれ)区分したので、明らかな誤記」と説明しました。
紙議員は、「もともと米の表面を削らなければ主食用にまわせない汚染された米や、異物まみれ米の値引き売却をする規定のなかで、事故米穀を事故品にすれば、そういう米を事故品として極力主食用に、ということになってしまう」と指摘。「事故品を極力主食用に」という文書を出したことが問題で、書き間違いは通用しない、その場しのぎの弁解だと批判しました。この指摘に、石破農水相、岡島官房長は答弁できませんでした。
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