2008年11月26日(水)「しんぶん赤旗」
食品衛生法違反のトウモロコシなど
「非食用」輸入3万8000トン
転売の監視体制なし
07年度分 紙議員入手資料で判明
残留農薬やカビ毒で食品衛生法違反となり、本来、廃棄、返却すべきトウモロコシなどの外国農産物が「食用以外」名目に用途変更され、年間六品目七十二件、三万八千二百トン以上(二〇〇七年度)も輸入されていたことが二十五日までにわかりました。事故米以外で、同法違反の農産物の「非食用」輸入が明らかになったのは初めて。
日本共産党の紙智子参院議員が厚生労働省検疫所業務管理室作成のリストを入手したものです。
厚労省は、同法違反農作物の「食用不正転売」の防止策をとっておらず、流通実態を把握していないため、実際の用途は不透明です。
リストによると、同法違反の農作物が「家畜飼料用」に変更されたのは、トウモロコシ三万六千六百五十トン、米七百六十四トン、小麦百三十トン、大豆十八トンなど。「肥料用」が中国産ネギ十一トン。糊(のり)用途となったのが、米粉が八十トン、米五百九十八トン。(表参照)
同省検疫所は、輸入時に残留農薬などの汚染が判明した食品衛生法違反の輸入農産物について、廃棄、積み戻し(返却)をしなくても、「食用以外の用途」として通関を容認してきました。
「非食用」輸入とする場合は輸入業者が処分計画書などを同省の検疫所に提出するだけ。輸入農産物の最終処分の「完了報告書」提出は義務付けもされず、業者の自主性にまかされています。このため、食用に転用されている可能性もあります。
|
実態、業者任せ 調査を
紙議員の話 食用に転用する防止策がないのに、食品衛生法違反の食品を「食用以外の用途」として輸入すべきではありません。食用に転用する際の監視体制もなく、業者まかせとなっている現状では不正転売されないという保証がありません。カビ毒で汚染されたトウモロコシが飼料となっているのも問題です。非食用流通は事故米のように認めず、食用に転用されていないかどうか、調査すべきです。
■関連キーワード