2008年12月26日(金)「しんぶん赤旗」
食品安全法案、年越す
メラミン事件 監督体制を再検討
中国
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【北京=山田俊英】中国で食品安全法案の審議が二度目の年越しになりました。三十万人近い被害を出した粉ミルクへの有害物質メラミン混入事件で法案の不十分さが明らかになり、提案者の国務院(内閣)が法案再検討に入ったためです。国務院が初めに法案を決定したのは昨年十月。一時は同年内に成立といわれましたが、異例の長期審議になりました。
中国の国会にあたる全国人民代表大会(全人代)は二十二日から現任期六回目の常務委員会を開催しています。今回は同法案を審議せず、来年二月に開く次回常務委に先送りすることを決めました。
問題になっているのは監督管理体制です。十月に行われた全人代常務委で議論が集中しました。
法案は、生産者に対する行政の監督権限を強化しています。しかし、メラミン事件は行政当局自身の問題点を浮き彫りにしました。消費者の訴えがあったにもかかわらず、地方政府も中央官庁も動かず、被害を大きくしました。不作為に対する罰則を含め、行政機関の責任をどう規定するかが問われることになりました。
また、原料生産から製造、流通、販売に至る各過程で監督官庁が分かれ、分担が明確になっていない弱点も明らかになりました。メラミン事件では、混入が行われた原料乳の集荷センターに対する監督が盲点になっていました。
十月の常務委では委員から「法案は政府による管理と行政罰に偏りすぎている。生産者の民事責任を強めるべきだ」との意見も出ました。これに対して、食品事故が起きた場合、誰が挙証責任を負うのかという疑問も出されました。
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