2009年1月27日(火)「しんぶん赤旗」

MA米のカビ多発 流通7割ストップ

政府の輸入政策破たん

米菓業者「困った」


 せんべいやみそ、焼酎など、加工食品用の政府保有輸入米の約七割が相次ぐカビ発見で、昨年十一月以降、引き渡しをストップしていることが二十六日、本紙の調べでわかりました。


 この輸入米はミニマムアクセス(最低輸入機会の提供=MA)米。これを使っている新潟県内の米菓業者は「農水省の入札で輸入米を落札したにもかかわらず、相次ぐカビの発見で『移動が凍結』され、われわれに引き渡されない。工場を止めるわけにもいかず、非常に困っている」と話します。落札した輸入米の契約をキャンセルし、農水省関連の特殊法人「米穀機構」(米穀安定供給確保支援機構)が保有する国産米を、その代用として購入しているといいます。

 米穀機構は「昨年秋の汚染米事件を受け、農水省から要請があり、輸入米の代用としてうちが保有する国産米を売っている」(安定供給支援事業部)と認めます。

 同機構によると、保有する国産米(〇五年産)約二万四千三百トンを昨年十一月ごろから、輸入米の代用として国内業者に販売。主食用に転用されないように破砕加工し、価格は一律一キロ当たり百二十八円(うるち米)の低価格(主食用の国産米の半額程度)で売っています。

 農水省は、保有する輸入米を通常、毎月一回の入札(定例販売)で国内業者に販売しています。昨年十月から最近までの落札数量は計約三万三千トン。国産米で代用した二万四千三百トンはその約七割に相当します。

 政府が保有する輸入米からは、今年に入ってもカビの発見が相次いでいます。米穀機構は「輸入米の代用にする在庫はもうない。さらにカビが発見されても、これ以上対応できない」(同)と話します。政府のコメ輸入政策が、カビの多発で事実上、破たんしつつあることを示しています。

 米穀機構は改定「食糧法」に基づき二〇〇四年四月に発足。豊作時に国内農家から国産米を預かって市場と隔離し、国産米の供給を安定させることなどを目的につくられた組織です。


専門家が検討会

 発がん性のカビ毒やカビで汚染された輸入米が昨年秋から相次いで見つかっている問題で、農水省は二十六日、カビ毒のアフラトキシンの分析やカビ米の除去方法などを検討する「政府米のカビに関する科学委員会」の第一回会合を開きました。

 会合では、農水省の担当者が輸入米の検査体制や流通実態を写真などを使って説明。販売前のカビの有無のチェックに加え、一定のロット(一件の届け出)ごとにカビ毒のチェックを行うための、ロットの決め方やサンプルの採取方法、カビ毒分析の範囲を検討し、政府保管の輸入米について「カビとカビ毒について食品衛生法上問題ないことを確認した上で販売したい」としています。


 輸入米のカビ多発 昨年十月以降、政府の倉庫に保管している加工用の輸入米から、カビ(カビ状の異物)が相次いで発見されている問題。昨年十月に六件、十一月に十一件、十二月に三十件が発見されました。昨年十月に発見されたタイ産米のカビからは、猛毒のカビ毒アフラトキシンが検出されました。カビが発見されると、そのカビ米と同一の船で輸入した同一の産地・種類のコメは、安全が確認されるまで、「移動を凍結(販売を中止)」するとしています。



■関連キーワード

もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp