2009年2月16日(月)「しんぶん赤旗」
汚染米への批判受け
輸入米購入業者を公表
農水省
農水省は二月以降、政府保有の輸入米(ミニマムアクセス米)の購入業者名と購入量を、毎月の販売(競争入札)ごとにホームページ上で公表することを始めました。汚染米事件で「輸入米の情報公開が十分でない」との国民の批判を受けたものです。
農水省の担当者は「(汚染米事件を受け)昨年十月十日に策定した『政府所有米穀の流通に関する検査マニュアル』に従って公表した」(消費流通課)と説明しています。
公表されたのは、昨年十二月分と今年一月分の定例販売の情報です。
今年一月分(昨年十二月二十六日入札実施)では、二百五十一業者の名前とそれぞれの購入量が明らかにされています。購入量の一位は新潟県の亀田製菓で、購入量が千四百六十一トン。以下、ひかり味噌(六百トン、長野県)、みたけ食品工業(五百六十トン、埼玉県)、ハナマルキ(四百五十トン、東京都)、マルサンアイ(四百五十トン、愛知県)の順になっています。
購入量上位の中には、全国的に有名な大手のせんべいやみそ、焼酎などの食品製造業者の名前も並んでいます。
昨年十二月分(昨年十一月二十八日入札実施)では、百六十八業者の名前とそれぞれの購入量を公表。ここでも一位は、五百トンを購入した亀田製菓。以下、三幸(三百五十トン、新潟県)、栗山米菓(三百トン、新潟県)、近藤製粉(二百トン、新潟県)、マルコメ(二百トン、長野県)の順。
購入資格業者は全国に799社
農水省はこのほど、政府保有輸入米の購入資格業者名簿の改定版(今年二月十日現在)をホームページ上で公表しました。同業者は全国で七百九十九。業者数を都道府県別にみると、一位が鹿児島県、二位が沖縄県、三位が新潟県になっています。(表参照)
これまで公表されていた旧版(昨年十二月三日現在、七百三十四業者)と比べると、沖縄県五十三業者と鹿児島県十業者、宮崎県二業者の計六十五業者が追加されています。
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解説
業者も悩み「制度に矛盾」
政府保有輸入米の購入業者名の公表は、コメ輸入(ミニマムアクセス米制度)が始まった一九九五年以来、初めてのことです。
業者名の公表は、農家などでつくる農民連が、国民の生命・健康を守る観点から、二〇〇三年、政府に「情報公開請求」をした経過があります。しかし、政府は当時、公表は(1)輸入米の購入取りやめが相次ぎ、輸入米の在庫が積み上がり、国家財政に深刻な影響を及ぼす(2)公表された企業の利益を害する恐れがある―などとして拒否してきました。
今回、購入量一位に名前があがった亀田製菓の役員、佐藤勇氏は、農水省の「米流通システム検討会」で、「できることなら私どもは国産米100%でいろんなものを生産して、お客様にお届けしたい」(昨年十月十七日の議事録)と発言しています。
佐藤氏はその上で、農水省への協力や、価格などの点から、輸入米を使わざるをえなくなった事情をのべ、「この制度の現状には矛盾を感じます」と率直に表明しています。
こうした業者の悩みを根本的に解決し、国民の食の安全を確保するには、必要のないコメ輸入を中止するしかありません。そのために、国内農家が国産米の生産費をまかなえるように価格保障をし、業者には国の支援で低価格の国産米を安定的に供給する仕組みをつくることが急務です。(今田真人)
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