2009年4月15日(水)「しんぶん赤旗」
衆院本会議
「海賊対処」法が審議入り
赤嶺議員が告発「無限定に派兵できる」
自民、公明両党は14日の衆院本会議で、米国領土での米軍新基地建設に日本国民の税金をつぎ込む在沖縄海兵隊グアム「移転」協定承認案の採決を強行、両党の賛成多数で可決しました。その後ただちに、「海賊対策」を名目に自衛隊の海外派兵を拡大・強化する「海賊対処」派兵新法案に対する質疑を行いました。日本の平和と安全を左右する重大案件が一度に扱われる異例の本会議となりました。
|
「海賊対処」派兵新法案について質問にたった日本共産党の赤嶺政賢議員は、「憲法九条が禁止する海外での武力行使、海外派兵恒久法に道を開くもので、断じて容認できない」と廃案を求めました。(質問要旨)
赤嶺氏は法案が口実にしているソマリア沖の海賊について、犯罪である海賊行為はソマリアや周辺国による「警察活動を基本に、国際的な連携・協力で対処すべき問題だ」と強調。「憲法九条を持つ日本は、ソマリア和平を後押しする外交努力と民生支援で積極的役割を果たすべきだ」と力説しました。
赤嶺氏は、法案の核心は、自衛隊に「海賊対処行動」という新たな海外任務を与えることにある、として「政府の一存で世界の海に派遣できるのではないか」と告発しました。浜田靖一防衛相は、「(派遣の要件は)適切に定めたうえで派遣を決定する」と述べ、法案は無限定であることを認めました。
また赤嶺氏は、武器使用規定について、「任務遂行のための武器使用」に踏み出し、海賊への危害射撃や船体射撃まで規定していることを批判。「自衛隊が戦後初めて、海外で人を殺傷する事態を引き起こしかねない」と政府をただしました。
麻生太郎首相は、武器使用に関して「詳細な武器使用基準に照らして適切に判断される」と述べるだけで、使用規定の拡大を否定しませんでした。
【Movie】「海賊対処」法案に対する赤嶺議員の質問(09.4.14)
グアム協定可決
屈辱的内容 審議3日のみ
グアム協定には日本共産党、民主党、社民党、国民新党が反対しました。同協定は、▽在沖縄海兵隊のグアム「移転」に伴う米軍施設建設のために日本国民の税金二十八億ドルを直接投入する▽条件として、沖縄県名護市辺野古沖への新基地建設がパッケージとされている―という日本にとって屈辱的な内容です。
審議では、日本共産党の追及などで、米海兵隊のグアム「移転」後の訓練経費まで日本が負担することや、グアムの新設隊舎に沖縄以外の米海兵隊も入居する可能性があることなど重大問題が次々と明らかになりました。
衆院外務委員会で、わずか三日間のスピード審議で採決を強行した与党と、採決に合意した民主党の態度が問われます。
河野太郎外務委員長は十四日の本会議で、「海兵隊の八千人削減」は実数でないことが明らかにされたと述べ、政府の見解に疑問を呈する異例の委員会報告を行いました。
■関連キーワード