2003年4月17日(木)「しんぶん赤旗」
有事法制ができれば、海外で米軍を支援する自衛隊の活動はどうなるのでしょうか。
今の法律では、自衛隊が活動している地域で戦闘が始まれば、米軍への支援をやめ、その場から撤退することになっています(周辺事態法など)。
憲法九条のもとで、歴代政府も、建前の上では、自衛隊は海外で米軍の武力行使と一体になる活動はできない、だから、戦闘地域と「一線」を画した地域でしか支援はできないとしてきたからです。
ところが、石破茂防衛庁長官は、米軍支援中に戦闘が始まり、「『ここは危なくなりましたから、さようなら』といった場合、同盟国って何だろう。実際の現場でそれで本当にもつのか」と述べています。(三月五日の参院予算委員会)
つまり、米国がアジアで介入戦争を起こしたときに、それに協力する自衛隊は戦闘が始まっても“逃げ帰る”のではなく、その場にとどまって支援を続けるというのです。
有事法案が発動される事態(武力攻撃事態)と、アジアでの戦争で米軍を支援する「周辺事態」は併存するというのが、政府の見解です。「周辺事態」で海外に出かけ、攻撃を受けたら、有事法制に適用を切り替えて武力行使に踏み切る―こんな危険も現実になりかねません。
実際、政府は、海外にいる自衛隊も有事法案でいう「わが国」にあたり、組織的・計画的に攻撃を受ければ反撃するとしています。(つづく)