2003年4月18日(金)「しんぶん赤旗」
「核兵器搭載の疑いが濃厚な米艦船は港に入れない」と拒否する自治体首長に、首相が「入港を認めよ」と指示権を発動─。有事法制ができれば、こんなことが現実になりかねません。
有事法案は、米国の戦争に自治体や民間企業を強制的に動員する仕組みを盛り込んでいます。
いまでも、米国がアジアで戦争を仕掛けたときに、自衛隊だけでなく、自治体や民間企業を動員する法律はあります(周辺事態法)。
この法律は、空港・港湾の提供、輸送、補給、医療、整備、通信など米軍への後方(兵たん)支援を定めています。
ところが、こうした協力は、自治体には「求め」、民間企業には「依頼」ができるだけで、建前の上では、拒否すれば強制できないことになっています。
一方、有事法案はどうか。自治体や、政府が指定する民間企業・機関(指定公共機関)が戦争に協力することは「責務」とされています。
その協力の一つが、米軍への「物品、施設、役務の提供」、つまり後方(兵たん)支援です。具体的な内容は「米軍のニーズ(必要)」を踏まえて新たな法律で定めるとされており、米国の要求次第でどこまでも広がりかねません。
有事法案では、自治体や「指定公共機関」が協力を拒否すれば、首相が法的拘束力のある「指示」を出すことができ、それも拒否すればみずから乗り出して直接実施することができます。自治体や民間企業は戦争協力から逃げられない仕組みです。(つづく)
■民間空港・港湾の提供、物資の積みおろし作業
■米艦船・航空機・基地への物資・燃料などの提供
■人員・物資・燃料の国内輸送
■公海上の米艦船への海上輸送
■米艦船・航空機・車両の修理・整備
■傷病者の移送・治療、医薬品などの提供
■米軍基地の警備、国内輸送路の警備
■米軍基地での汚水処理・給水・給電など