2003年4月20日(日)「しんぶん赤旗」
有事法案は、戦争への「国民の協力」を明記しています。有事法制ができれば、私たち国民はふだんから戦争への「備え」をさせられることになります。
政府は、有事法案で同法施行後二年以内に整備するとしている「国民保護法制」で、国民に「避難に関する訓練への参加」を求めるとし、戦争に備えた訓練を義務付けようとしています。自主防災組織やボランティア団体まで動員の対象に挙がっています。
そして、実際に戦争が始まることになれば、さまざまな統制が国民に覆いかぶさってきます。
同法制では、「社会秩序の維持」を口実に、交通の規制や通行・立ち入り禁止区域の設定などが想定されています。外出禁止も「検討すべき課題」(昨年五月二十日、中谷元・防衛庁長官=当時)とされています。
経済や金融の統制も行われます。政府は、一九七三年の石油ショック時の経済規制法のようなものを想定しているといっています。国民に石油の使用を制限したり、業者に物資の生産や売り渡しを強制できるようにしようというのです。「配給」も検討されています。
「日本が攻撃される事態になれば、ある程度の統制もやむを得ない」という人もいるかもしれません。しかし、有事法案は、武力攻撃の「予測」の段階から動きだす仕組みです。米国がアジアで先制攻撃の戦争に乗り出せば、国民統制が可能になるのです。(つづく)
■有事訓練 「避難に関する訓練」参 加を求める。自主防災組織などの動 員も
■外出制限 「検討すべき課題」(中 谷前防衛庁長官)
■交通規制・通行禁止・立入制限 違反すれば罰則
■経済統制 石油ショック時の経済 規制法を想定。価格統制や物資の生 産、供給を国が管理