2003年4月21日(月)「しんぶん赤旗」
電気、ガス、輸送、通信…。私たちの生活になくてはならないライフライン(生命線)です。有事法案では、このライフラインにかかわる機関や企業を「指定公共機関」に定め、戦争協力の「責務」を負わせようとしています。
実は、「指定公共機関」というのは、地震など自然災害に対処するための「災害対策基本法」でも定められています。
そこで指定されているのは、六十機関・企業。道路公団や空港公団、JR、NTT各社、日本通運、KDDIなどが含まれます。政府は、有事法案にもとづく指定にあたって、これを「参考にする」としています。
指定されれば、米軍や自衛隊への「物品、施設、役務の提供」など戦争協力業務が最優先で強制されることになり、国民生活はそっちのけにされかねません。
「指定公共機関」の労働者にとっては、戦争協力が「業務命令」となり、事実上、拒否できなくなってしまいます。
しかも、「指定公共機関」は、政令で定ることになっており、一方的な政府の判断で決められてしまう仕組み。その範囲は、際限なく広がる危険があります。マスコミも例外ではなく、政府は、民放も「指定される可能性はある」といいます。
すでに、関係業界からは「国民の『知る権利』に奉仕する機関が、政府に奉仕するものに変質しかねない」(民放連)などの危ぐや反対の声が上がっています。(つづく)
【経済】日本銀行 【医療】日本赤十字社 【マスコミ】日本放送協会 【鉄道】JR7社 【輸送】日本通運 【空港】新東京国際空港公団、関西国際空港株式会社 【通信】日本電信電話、東日本電信電話、西日本電信電話、KDDI、NTTドコモ9社、NTTコミュニケーションズ 【ガス】東京ガス、大阪ガス、東邦ガス 【電力】北海道・東北・東京・北陸・中部・関西・中国・四国・九州・沖縄の電力10社、日本原子力発電、電源開発 【道路】日本道路公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団、本州四国連絡橋公団 【ダム】水資源開発公団 【原子力】核燃料サイクル開発機構、日本原子力研究所、放射線医学総合研究所 【研究所】消防研究所、防災科学技術研究所など10機関