2003年4月23日(水)「しんぶん赤旗」
どこからみても道理のない米国のイラク戦争に、小泉首相は「同盟国である米国を可能な限り支援するのは当然」といって、支持を表明しました。
有事法案は、こんな首相に、戦争の全権を集中する仕組みです。
まず、有事法案が発動される「武力攻撃事態」の認定や、自治体や「指定公共機関」をどのように動員するのかなどを定める「対処基本方針」をつくるのが、首相です。
この「基本方針」は政府の安全保障会議に諮られますが、その議長も首相。「基本方針」にもとづき自治体や「指定公共機関」を実際に動員する「対策本部」の本部長を務めるのも首相です。首相は、最高指揮官として自衛隊も動かします。
首相は、自治体や「指定公共機関」に対し、指示権や強制執行権も持ちます。それを発動するには「対策本部長」の求めが必要ですが、自分が自分に要請するという一人芝居です。
強制動員される自治体や「指定公共機関」は、「基本方針」の決定にあたって意見すらのべることができません。
しかも、有事法案は、首相が「基本方針」を決めるだけで発動されます。国権の最高機関である国会は、事後に承認を求められるだけ。戦争という国民一人ひとりの生命にかかわることなのに、国会をカヤの外に置き、政府が有無を言わさず強行できる独断専行の体制がつくられてしまいます。(つづく)