2003年6月12日(木)「しんぶん赤旗」
「いったい、いかなる具体的根拠にもとづいて『保有している』と断言したのか」。日本共産党の志位和夫委員長は十一日の党首討論で、小泉純一郎首相がイラク戦争支持にさいして、「イラクは大量破壊兵器を保有している」と繰り返し断言していた事実を突きつけ、その根拠をただしました。小泉首相は根拠を示すことができず、答弁不能におちいり、「フセイン大統領はいまだに見つかっていないから、イラクにフセイン大統領がいなかったと言えるのか」などと苦しい詭弁(きべん)を持ち出すと、議場は爆笑、騒然となりました。
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志位氏がとりあげたのは、小泉首相が「『信頼の政治』を実現する」として始めた「小泉内閣メールマガジン」です。
いずれも「小泉純一郎です」で始まり、戦争開始一週間前の三月十三日付では「この問題は、…『全世界対大量破壊兵器を持っているイラク』の問題」。戦争開始日の二十日付では「大量破壊兵器を保有するイラクの脅威」とし、戦争開始から一週間たった二十七日付でも「この問題の核心は、イラクが自ら保有する大量破壊兵器」と断言しています。
志位氏は、いまだに大量破壊兵器が発見されていないもとで、戦争を推進した米英両国では責任追及の火の手があがっているが、問題の本質は、ブッシュ米大統領が「イラクは大量破壊兵器を保有している」と「断言的」にのべ、国民を戦争に導いたことにあると指摘。この問題の本質をするどく提起した、ニクソン大統領時代の大統領法律顧問、ジョン・ディーン氏の最新の論文を紹介しました。
ディーン氏は、大統領の「明快かつ断言的」にのべた発言を列挙し、「情報を操作し、偽ってつたえたとすれば、それは醜態きわまる不正行為だ」「合衆国憲法の大統領弾劾条項にいう『重罪』となるだろう」とのべています。
志位氏は、「これは首相自身にも問われる大問題だ」として、「大量破壊兵器を保有」と断言した根拠をただしましたが、首相は「フセイン大統領もみつかっていない」「大量破壊兵器はいずれ見つかると思う」などと、ごまかすのが精いっぱいでした。
志位氏は、「疑惑があるということと、『保有している』と断定することは違う」として、国連査察団のブリクス委員長報告(六月五日)が「(大量破壊兵器が)行方不明だからという理由だけで、それが存在しているという結論に飛躍することは間違いである」とのべていることを指摘。「首相はまさにその『飛躍』をしている。疑惑の段階の問題を断定していった」「結局、アメリカのいっていることをうのみにし、おうむ返しに繰り返しただけだ。こんな総理に『イラク支援』うんぬんをいう資格はない」と批判しました。
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