2003年9月13日(土)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 日本ではジニ係数が年々増加し、所得格差が拡大していると聞きますが、ジニ係数とはどんな意味があるのですか。(鹿児島・一読者)
〈答え〉 所得などの不平等度を表すのに使われる「ジニ係数」は、イタリアの数理統計学者ジニが一九三六年に考案した指数です。所得にかんするジニ係数なら、“その国や集団の構成員の所得格差が、全体として、平均所得にたいしどれだけになるか”を表します。
たとえば、平均所得が五百万円でジニ係数が0・4の集団なら、構成員どうしの所得の差を全体としてみると、五百万円の40%にあたる、二百万円の格差があることになります。
格差がない完全平等な集団ではジニ係数は0となります。一人だけが全所得を独占する完全不平等の集団では、ジニ係数はかぎりなく1に近づきます。通常は0と1の間の数値をとり、数値が大きいほど、構成員相互の格差が大きい不平等な集団だということになります。
日本での代表的なジニ係数の統計には、三年ごとに集計している厚生労働省の「所得再配分調査」や、毎年集計する総務省の「家計調査」があります。総務省調査は農家所得を計算に入れないなどの違いがあり、両者の数値は異なります。
しかしそれぞれの長期傾向を見ると、日本のジニ係数は一九六〇年代から七〇年代までは一定範囲内で変動していたのに、八〇年代からは増大傾向が続き不平等度が拡大しています。公表されている厚生労働省調査の一九九九年のジニ係数を一九八一年と比べると、「当初所得」で0・35から0・47に、納税や社会保障給付後の「再配分所得」で0・31から0・38に増大しています。
これはちょうど、日本で福祉切り捨てや「規制緩和」「自由化」などが「改革」の名によって進められるようになった時期と重なります。この傾向は欧米と比べても顕著で、日本は、もはやアメリカ並みの不平等社会になった”などと指摘されています。
(水)
〔2003・9・13(土)〕
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